【3月2日 AFP】2700万~2400万年前にニュージーランドに生息し、身長が130センチもある史上最大級のペンギンの化石についての論文が2月28日、科学誌「Journal of Vertebrate Paleontology(古脊椎動物学ジャーナル)」で発表された。

 この時代、ニュージーランドは大半が海中に沈んでおり、海面からは岩がまばらに露出して、捕食動物から守られ餌も豊富にある環境を作り出していたと考えられる。

 マオリ語で「獲物を持って帰ったダイバー」を意味する「カイルク(Kairuku)」と名付けられたペンギンの最初の化石は、1977年、南島(South Island)ワイマテ(Waimate)の断崖で、同国オタゴ大(University of Otago)のイーワン・フォーダイス(Ewan Fordyce)教授(古生物学)により発見された。

 教授はその後も、より完全な骨格化石をいくつか発見。2009年に米ノースカロライナ大(University of North Carolina)のダン・クセプカ(Dan Ksepka)氏を招き、カイルクの姿の復元に取り組んだ。

■コウテイペンギンより大きい

 その結果、カイルクは、身長100センチ体重60キロ程度と現生ペンギンの中で最大のコウテイペンギンより、はるかに大きかったことが分かった。

 「カイルクは細身の体とすらりとした長い翼を持ち、足は短く太かった。ペンギンの基準から言えばエレガントな鳥だった」と、クセプカ氏は言う。

 フォーダイス教授は、大きなサイズは、現生ペンギンよりも長く泳ぎ深く潜れるよう適応した結果だと話す。絶滅の原因については、気候変動や、イルカやアザラシなどから捕食される機会が増えた可能性を指摘した。

 2010年には、3600万年前に生息していた推定身長150センチのペンギンの化石を発見したとする論文が発表されている。(c)AFP