【3月7日 MODE PRESS】英国史上初かつ唯一の女性首相として11年もの長期政権を担い、“鉄の女”と呼ばれたマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)も、年を取り認知症に苦しんでいる。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』は単なる政治家の偉人伝ではなく、2008年に娘の回顧録で明らかになったこの事実をきっかけに誕生した物語だ。英アクセントを習得し、国を率いる強いリーダーを演じた米大女優メリル・ストリープ(Meryl Streep)は、今年度アカデミー賞で3度目となるオスカーに輝いた。

■20世紀、英国で最も影響力のあったリーダー
 
 父の影響で政治家を志したマーガレットは、一度は落選するも、79年には英国首相まで登りつめる。いま以上の男性社会であった当時の議会で、トレードマークのようにブルーのスーツにパンプス、パールのネックレス、ハンドバッグという姿を貫き、妥協しない強い態度で闘い続けた。フォークランド紛争での勝利、低迷する経済の建て直し、労働組合制度の改革に成功し、一時は79%の支持率を誇った。しかし、人頭税とヨーロッパ政策ではその頑なすぎる態度があだとなり、90年に官邸を去った。

■最愛の夫、デニスの存在

 作品で印象的なのは、表舞台で闘うマーガレットを常にあたたかく迎え、支え続ける夫デニス(ジム・ブロードベンド:Jim Broadbent)の姿。「私は食器を洗って一生を送りたくはない」という若きマーガレットに「だから君と結婚したいんだ」とプロポーズし、政治家としての栄光と挫折を見守り続けた。妻として、母親として家族を犠牲にすることもあったマーガレットは、デニスの死後その存在の大きさを知る。晩年、認知症を患うなかデニスの亡霊に話しかける。

 監督はミュージカル映画『マンマ・ミーア!』でストリープと組んだフィリダ・ロイド(Phyllida Lloyd)。「スーパースターを演じるにはスーパースターが必要」とロイド監督お墨付きの起用となったストリープだが、女優人生を捧げたその演技はさすがの一言。しかし、強力なリーダーも一人の人間。支えを必要とし、年とともに弱くなっていく。いままで“鉄の女”と恐れられてきたサッチャーを新たな視点から捉えたヒューマンストーリー、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』は3月16日からTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー。(c)MODE PRESS

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