【2月23日 AFP】ギリシャ南西部オリンピア(Olympia)で17日、古代オリンピック競技博物館(Ancient Olympic Games Museum)に2人組の強盗が押し入り、展示品を奪って逃走した。関係当局が20日に伝えた。

 当局によると、盗まれた展示品は約3300年前の黄金の指輪、競技の勝者をかたどった小型の銅像、約2400年前の油のつぼ、粘土製ランタン、古代二輪戦車の車輪をかたどったオブジェ、同御者の像、馬や牛の像など77点におよぶ。また、強盗が押し入った際、粘土製のゴブレット2点とコップが破損した。破損したゴブレットとコップは、そのまま現場に放置されていたという。

 覆面をかぶった2人組は17日、博物館に警備員が配置されていない早朝の1時間を利用し、警報装置を破壊して館内に侵入。後にシフト勤務の時間になって表れた女性警備員も抑え込んだ。

 この事件を受け、パブロス・ゲルラノス(Pavlos Geroulanos)文化相は辞表を提出したが、ルーカス・パパデモス(Lucas Papademos)首相は受理していない。

 考古学的遺産が豊富なギリシャでは、貴重な文化財が長きにわたって密売目的の盗難の標的とされてきた。これに加え、直近の財政危機のあおりで、こうした博物館の多くが考古学関連の職員や警備員を解雇。さらなる盗難の危機にさらされている。

 アテネ(Athens)から南西約300キロ、ペロポネソス(Peloponnese)半島のオリンピアで起きたこの度の事件、博物館を狙った強盗事件としては、過去1月の間で2件目だ。

 前月には、アテネの国立美術館でパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)本人から寄贈された絵画などが盗まれている。この事件の犯人(もしくは犯行グループ)は、警報装置を破壊し、建物裏側にあるバルコニーのドアをこじ開けて侵入したとされる。高級ホテルが立ち並ぶ向かいにある、この美術館は事件当時、緊縮財政案に抗議するストの影響で警備が手薄な状態だった。

 同事件では、オランダの抽象画家ピエト・モンドリアン(Piet Mondrian)や16世紀のイタリア人画家グリエルモ・カッチャ(Guglielmo Caccia)の作品も盗まれている。(c)AFP