【2月18日 AFP】ドイツのクリスチャン・ウルフ(Christian Wulff)大統領が17日、辞任した。汚職疑惑の渦中にいる大統領の辞任で、ユーロ圏の債務危機に立ち向かう難題を抱えたアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相にもうひとつ頭痛の種が増えた格好だ。

 ウルフ大統領が以前首相を務めた同国北部ニーダーザクセン(Lower Saxony)州ハノーバー(Hanover)の検察は16日夜、大統領の職権乱用疑惑を捜査するため不逮捕特権をはく奪するよう議会に求めたと発表した。

 ウルフ大統領の役割はおおむね儀礼的なものにとどまるが、道義的な面では影響力が大きい。同国議会に検察が大統領不逮捕特権はく奪を要求するのは、今回が初めてとなる。

 ウルフ大統領は2007年、ニーダーザクセン州の首相時代に、ホテルの宿泊費を知人の映画プロデューサーに肩代わりしてもらった疑いなどが浮上している。

 また、独紙ビルト(Bild)は前年12月、大統領が同州の首相を務めていた2008年に総額50万ユーロ(約5200万円)の自宅を購入する際、優遇金利で融資を受けたことを申告していなかったと報道。ウルフ大統領はこの報道で一斉に批判を浴びることとなった。

 その後大統領は同紙編集長の留守番電話に怒りのメッセージを残し、さらに大統領が記事の差し止めを求めたとする主張をめぐっても同編集長と公の場で対立していた。(c)AFP/Kate Millar

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