【2月13日 AFP】米マイクロブログ「ツイッター(Twitter)」上でイスラム教の預言者ムハンマド(Mohammed)に語りかけるかのようなツイート(つぶやき)を投稿し、命の危険を感じて国外に脱出していたサウジアラビアの若手ジャーナリストがマレーシアで身柄を拘束され、12日にサウジアラビアに送還された。

 ジャーナリストのハズマ・カシュガリ(Hamza Kashgari)氏(23)は今月初め、ムハンマドの生誕祭に際して、ツイッターで「私はあなたについて好きなところも嫌いなところもある。それに理解できない面もある」「私はあなたのために祈りを捧げない」などとつぶやいた。

■サウジ国内で死刑求める声高まる

 サウジアラビアでは、このコメントがムハンマドを冒涜(ぼうとく)しているとして激しい怒りの声が巻き起こり、カシュガリ氏の死刑を要求する動きが広がった。アラビア語ツイート数を監視するオンラインサービスによると、問題のツイートへの反応は数万件に上り、米SNSフェイスブック(Facebook)に作られた死刑を求めるページも数千人のフォロワーを獲得。サウジアラビアの政策がイスラム法にかなっているかを審議する「高位聖職者評議会」は、カシュガリ氏を「異端者」と呼び、イスラム法廷で裁くよう要求した。

 ムハンマドの冒涜はイスラム法では不敬罪に相当し、サウジアラビアでは死刑を適用されることもある。このため同氏はサウジアラビアを出国し、同じイスラム教国のマレーシアに向かったが9日、マレーシアの空港に到着直後に身柄を拘束されていた。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたマレーシア政府高官によると、カシュガリ氏は12日、同国空港でサウジアラビア当局者に身柄を引き渡され、出国したという。

 マレーシアとサウジアラビアは正式な犯罪人引渡条約を締結していないが、同じイスラム国として緊密な関係を持っている。

 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)とヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)は、カシュガリ氏が送還されれば重罰を科されることになり、死刑になる恐れもあるとして、マレーシア当局に対し身柄を引き渡さないよう要請していた。

 人権団体によると、カシュガリ氏はマレーシアを経由してニュージーランドに向かう予定だったという。(c)AFP/M. Jegathesan