【2月12日 AFP】どこからやって来たのか誰にも分からないが、米フロリダ(Florida)州南部マイアミ・デード(Miami-Dade)郡で世界最大のカタツムリ「アフリカマイマイ」が大発生し、農作物への被害や病原寄生虫を媒介する恐れが懸念されている。

 アフリカマイマイは全長20センチにもなる陸生巻貝で、寿命も最高9年と長い。繁殖力が強く、年間1200個もの卵を産み付けるため、1匹のアフリカマイマイから周囲一帯を埋め尽くすほどの数にまで増える。原産はアフリカだが、仏海外県のグアドループ(Guadeloupe)やマルティニク(Martinique)などカリブ海の島々でも見られる。

 米農務省とフロリダ州農務局は、職員34人を動員して駆除作戦に乗り出した。また米魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)がアフリカマイマイの侵入経路を調査している。

■建物や農作物に有害、寄生虫にも要注意

 州農務局のスージー・ディステルバーグ(Suzi Distelberg)調査官は「聞いたところでは、このカタツムリは建物の外装などに使われているしっくいを食べるのが好きだという。しっくいにはカルシウムが含まれており、カタツムリの殻の成長に寄与するからだそうだ」と述べた。

 地元住民のジョランド・ガルシア・ブルゴスさんはある朝、自宅の外壁を1匹のアフリカマイマイが這っているのを見つけた。それから1週間で、庭の茂みやツタの間、バーベキューグリルなどからブルゴスさんが集めたアフリカマイマイは583匹に上った。

 州当局は前年9月に大発生が始まって以降、これまでに3万5000匹を捕まえたという。

 心配されるのは街や家の美観だけではない。アフリカマイマイの粘液には髄膜炎を媒介する寄生虫が潜んでいることがあり、致死性ではないものの感染するとひどい腹痛を引き起こす。またピーナツやメロンなど500種の植物を食べるとされ、農作物にとっても脅威だ。

■予想される春の大繁殖、駆除急ぐ

 実はアフリカマイマイがフロリダで大発生したのは今回が初めてではない。1966年に1人の少年がペットとして輸入した3匹のアフリカマイマイを、少年の祖母が外に放したところ、1万8000匹のコロニーを形成してしまったことがある。完全に駆除するには9年かかり、その費用は100万ドルを超えた。

 米国では、アフリカマイマイの輸入は連邦政府の許可がなければ違法だ。しかし、アフロカリビアンの宗教儀式に用いられていると当局は指摘している。

 現在はアフリカマイマイの冬眠期にあたり、地面を掘って潜ってしまうため見つけにくいが、大繁殖が予想される春の雨期が来る前に壊滅させたいとして、当局は全力で駆除作戦に当たっている。(c)AFP/Ivan Couronne

【動画】「巨大カタツムリ」と人間の仁義なき闘い(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)