【2月9日 AFP】イラン・イラク国境地帯を流れるシャトルアラブ川(Shatt al-Arab)に7日、英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)の港湾施設がオープンし、イラン・イラク戦争(1980年~1988年)で停止していた同川の商業利用が31年ぶりに再開した。

 全長約200キロのシャトルアラブ川は一部がイラン・イラク国境をなしており、イラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領(当時)が川の使用権と国境線をめぐる対立を理由としてイランに宣戦布告。航路は停止に追い込まれた。

 イラク・マジヌーン(Majnoon)油田の共同開発委員会のメフディ・バダ・フセイン(Mehdi Badah Hussein)代表は、開港式でAFPの取材に「31年が経過して、シャトルアラブ川は生まれ変わった。流域には他の港湾施設もあるが、イラクは今回初めて、同川を重機運搬も可能な水路に変えた」と述べた。

 同委員会メンバーのイラク人エンジニア、ディア・ハリル(Dia Khalil)氏によると、新設された突堤港は河口から約80キロ上流にあり、利用する船舶はまず港湾都市ウムカスル(Umm Qasr)で通関手数料を支払う必要があるという。

 マジヌーン油田の操業権は2010年1月、ロイヤル・ダッチ・シェルとマレーシア石油大手ペトロナス(Petronas)の企業連合が獲得した。突堤港が石油積み出し港として使用されるかとのAFPの質問に対し、ロイヤル・ダッチ・シェルの同油田開発担当者は、石油輸送にはパイプラインが使われると回答した。

 イラク石油省によると、同国の2011年の原油輸出量は平均日量210万バレルで、原油価格高騰や輸出拡大を背景に売り上げは約60%増加したという。石油収入はイラク政府の収入の大部分を占め、国内総生産(GDP)の3分の2を占める。(c)AFP/Mohamad Ali Harissi