【2月8日 AFP】世界自然保護基金(WWF)は7日、インドネシア・ボルネオ(Borneo)島沖で、絶滅が危惧されているカワゴンドウを18頭発見したと発表し、カワゴンドウ生息地の保護促進を求めた。

 カワゴンドウはバンドウイルカに似ているが、鼻先は突き出ておらず、背びれもとがっていない。その生態についてはほとんど知られておらず、世界全体の個体数を把握する包括的な調査も一度も行われたことはない。

 調査チームは今回、5日間にわたり、ボルネオ島の西カリマンタン(West Kalimantan)州の海岸線260キロを調査し、18頭の小さな群れを発見した。

 沿岸部にはパルプや炭を生産するためのプランテーションが数百か所ほど乱立しているため環境は劣化しているが、カワゴンドウの生息地は依然として損なわれていないことを今回の発見は示している。今回の調査では、カワゴンドウと同じ生態系に暮らすシナウスイロイルカ3頭も発見された。

■マングローブ林の破壊と漁業

 カワゴンドウの群れは、これまでに、カンボジアのメコン川(Mekong River)、ミャンマーのエーヤワディー川(Ayeyawardi River)、インドネシア・東カリマンタン(East Kalimantan)州のマハカム川(Mahakam River)で確認されており、それ以外の生息地の群れは国際自然保護連合(IUCN)の分類で「絶滅危惧Ⅱ類(vulnerableVU)」とされている。

 ただし、数百頭程度しか住んでいないと考えられていたバングラデシュでは、2009年に約6000頭が確認された。

 カワゴンドウが生息しているマングローブ林は、持続不可能な農業や気候変動の脅威にさらされている。また、独特の植生を持つマングローブ林の形成には数千年を要するとされている。

 カワゴンドウは、その他の海洋生物同様に、漁網に絡まったり魚を感電死させる漁法により命を落とすケースも多い。(c)AFP/Angela Dewan