【2月3日 AFP】1月中旬にイタリア中部でクルーズ船「コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号」が座礁した事故で、業務上過失致死などの容疑がかけられている船長をテレビ番組で擁護したモルドバ人女性が、事情聴取で船長の愛人であることを認めたと現地紙が報じている。

 この女性は事故当時、自分の誕生日を友人と祝うために乗船していたというモルドバ人のバレリーナ、ドミニカ・チョモルタン(Domnica Cemortan)さん(25)。事故船の運行会社であるコスタ・クルーズ(Costa Cruises)の別のクルーズ船に勤務していた経験がある。

 2日の伊紙スタンパ(La Stampa)によると、チョモルタンさんは検察当局の事情聴取でコスタ・コンコルディア号のフランチェスコ・スケッティーノ(Francesco Schettino)船長(52)との関係を問われ、「その通りです。わたしとスケッティーノ船長は恋愛関係にあります」と認めた。スケッティーノ船長は既婚者で2人の娘がいる。

 チョモルタンさんは、先のインタビューでは自分が愛人だとの噂をきっぱりと否定。船長は家族を裏切ることなどない家庭的な男性で、娘たちの写真をチョモルタンさんに見せたこともあると述べていた。

 また、チョモルタンさんは事情聴取で、1月13日にジリオ(Giglio)島沖で船が座礁した当時、自分は船橋甲板にいたと証言したという。しかし、前月のAFPとのインタビューでは、友人たちと船の食堂で食事をしていたと述べていた。

 スケッティーノ船長も、事故当時に船橋甲板にいたのは許可された乗組員だけだったと捜査当局に供述していた。

 このためイタリアのメディアは、今後の捜査の中で「自分は船長の恋人だ」と認めたチョモルタンさんの供述が、事故の前後に誰が、いつ、どこにいたのかを突き止める鍵となると報じている。

 スケッティーノ船長は現在、業務上過失致死などの容疑で自宅軟禁されている。しかし、チョモルタンさんはモルドバのテレビ局のインタビューで、船長は数千人の乗客の命を救った「英雄です」などと述べ、船長を擁護していた。

 乗員乗客4229人が乗船していたコスタ・コンコルディア号の事故では、不明者を含めて32人が犠牲となった。(c)AFP

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