【1月26日 AFP】中央アジア・キルギスの刑務所で、待遇改善を求めて受刑者7000人近くが大規模なハンガーストライキを展開し、うち1000人以上が唇をホチキスで閉じたり糸で縫い合わせて抗議の意思を示しているという。

 キルギス全土の刑務所で服役する受刑者の数は1万5000人ほどだが、刑務所管理当局が25日明らかにしたところによると、ハンスト参加者は6600人余り。うち、唇を縫いとめたのは1197人という。受刑者らは、家族にもハンストに加わるよう求めている模様だ。
 
 トゥルスンベク・アクン(Tursunbek Akun)行政監察官は、首都ビシケク(Bishkek)にある国内最大の刑務所を視察後、ハンスト中の受刑者の多くは健康が悪化しており、病院に搬送されたものもいると報道陣に語った。

 ハンストが起きた経緯は不明だが、刑務所側は、当局に特権をはく奪されることを恐れた犯罪組織の幹部らが、服役中の子分らにハンストを強制していると主張している。 

 刑務所当局と受刑者らの対立は、ビシケクの刑務所内で起きた犯罪組織幹部同士の争いが殺人に発展したことが発端で始まった。相手方の幹部を殺害した受刑者は、より劣悪な環境の刑務所に移送され、組織への家宅捜索で携帯電話や麻薬、現金などが押収された。これに怒った組織側が、受刑者たちにハンストをさせているというのだ。

 一方で人権団体は、ハンストの原因は劣悪で非人道的な刑務所環境だと指摘している。ある人権活動家によれば、キルギスの刑務所は食事が不十分なうえに医薬品やシーツ、せっけんも支給されず、病気になっても治療できる医師はほとんどいない状態だという。(c)AFP

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