【1月22日 AFP】イタリア中部ジリオ(Giglio)島沖で13日夜にクルーズ船「コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号」が座礁した事故で21日、船橋(ブリッジ)の監視カメラ映像を収めているとみられるハードディスク駆動装置(HDD)が船から回収された。この記録から、船長の事故当時の行動が明らかになる可能性がある。また同日、船内から新たに遺体が発見され、これまでに確認された死者は12人になった。

 事故から1週間が過ぎ、生存者の発見が絶望的になる中、コンコルディア号の船尾から女性の遺体が発見された。捜索隊は現在も24時間態勢で、船体に穴を開ける措置で入れるようになった場所で捜索活動を続けている。また、報道によると、検察当局の依頼を受けたダイバーが、コンコルディア号の船橋部分を録画した監視カメラ映像を収めている可能性のあるHDDを船から回収した。

■事故当時の状況明らかになるか

 検察当局はジリオ島にコンコルディア号を接近させすぎて座礁事故を起こした後、船を放棄したとして、業務上過失致死などの容疑で現在自宅軟禁下にあるフランチェスコ・スケッティーノ(Francesco Schettino)船長を捜査している。

 コスタ・コンコルディアを所有するコスタ・クロシエレ(Costa Crociere)社は、スケッティーノ船長は、すでに手遅れになってから同社に事故の深刻さについて報告したと述べている。だがスケッティーノ船長側は、クロシエレ社の主張に異議をとなえ、船を放棄したことを強く否定し、船が傾いた際に足元がふらついて船外に落ちたと主張。また、事故当時船長がモルドバのバレリーナ、ドミニカ・チョモルタン(Domnica Cemortan)さん(25)と一緒に船橋にいたとの報道も否定した。

 検察当局は、船から回収されたHDDとブラックボックスと金庫から、事故当時に船長が一緒にいた相手などを特定できる可能性があると期待を寄せている。

■事故による死者12人に

 新たに発見された女性の遺体は、1週間水中にあったため、警察当局によると、依然行方不明の21人の家族がDNA検査を行って身元を確認することになるという。

 コンコルディア号座礁事故でこれまでに死亡が確認された12人の身元は、乗客がフランス人4人、イタリア人1人、スペイン人1人、乗員ではペルー人ウエーター1人とハンガリー人バイオリニスト1人などとなっている。(c)AFP/Ella Ide

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