【1月20日 AFP】国際電気通信連合(International Telecommunication UnionITU)は19日、スイス・ジュネーブ(Geneva)で会合を開き、「うるう秒」の廃止にはさらなる調査が必要だとして決定を延期した。

 うるう秒は太陽と月の引力で遅くなる地球の自転速度と、原子時計の時刻とのわずかな差異を調整するため、原子時計に挿入する1秒。同連合はこれまで40年間、このうるう秒で「協定世界時(Universal Coordinated TimeUTC)」の調整を行ってきた。

 だが1秒調整するたびに、コンピューターに登録されている時間を手動で変更する必要が生じ、費用がかさむうえにエラーの発生リスクも高まる。 

 専門家によると、うるう秒が廃止されれば原子時計は太陽時より100年間で15秒進むことになるという。

 19日の会合には70か国が参加し、米国、フランス、日本などの国がうるう秒の廃止に賛成の姿勢を示す一方、英国、中国、カナダはさらなる調査が必要だとした。同連合の英国代表であるステファン・ボンド(Stephen Bond)氏は「(うるう秒廃止の)社会的、法的、宗教的な影響はまだ精査されていない」と述べたが、米国は衛星を利用したナビゲーションシステムの増加により、廃止に前向きな姿勢を示している。

 うるう秒存続の可否については、来週から始まるITU主催の世界無線通信会議(World Radiocommunication ConferenceWRC)にて討議される。

 うるう秒の挿入はITUが協定世界時を設定して以来、24回行われた。挿入は必要に応じて6月30日か12月31日に実施されている。(c)AFP/Lucy Christie

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