【1月19日 AFP】中国の反体制派作家として知られ、前週米国へ渡った余傑(Yu Jie)氏(38)が18日、ワシントン(Washington D.C.)市内で記者会見し、暴行や嫌がらせを受けたことを理由に米国への亡命を決意したことを明らかにした。

 余氏は2010年、温家宝(Wen Jiabao)首相を批判する著書を香港(Hong Kong)で出版したが、中国当局から出版も信仰も禁じられたと主張している。同氏は、中国当局が公認していないキリスト教プロテスタント宗派の信者。

 記者会見で余氏は、現在中国で服役中の民主化活動家・劉暁波(Liu Xiaobo)氏が同年にノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞して以降、当局の監視がさらに厳しくなり、暴行も受けたと語った。「彼らはわたしの服をすべて剥ぎ取って地面に押し付け、何回となく私を叩いた。100回は超えていた」

 また、中国の影響力に警告を発し、次のように述べた。「この害悪は旧ソビエト連邦よりも危険だと思う。何故なら、冷戦時代の旧ソ連は鉄のカーテンの向こう側にいて、グローバル世界の一部ではなかった」「中国政府は今、自国民を迫害しているばかりでなく、そのシステムをアフリカなど他の国々へ輸出している」

 余氏はさらに、「欧米諸国は(中国の)人権問題に目をつぶっている。しかしそれは彼ら自身の利益も損なうことになる」と述べ、国際社会に対し中国への圧力を求めた。

 16日、米公共放送に出演したゲーリー・ロック(Gary Locke)駐中国大使は、中東全体で相次いでいる民衆蜂起を中国共産党指導層は脅威と感じており、中国の人権状況はさらに悪化していると述べた。これについて、ビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)国務省報道官は18日、ロック大使の懸念は米政権全体で共有されているもので、米政府は中国政府に対し極めて率直にその懸念を伝えていると述べている。(c)AFP

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