【1月18日 AFP】イタリア中部ジリオ(Giglio)島沖で13日夜にクルーズ船「コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号」が座礁した事故で、業務上過失致死などの疑いで逮捕されたフランチェスコ・スケッティーノ(Francesco Schettino)船長(52)が港湾当局による救助命令を無視していたことを示す交信記録が17日公開された。

 トスカーナ(Tuscany)州リボルノ(Livorno)の港湾当局が録音した交信記録の中で、港湾当局者は「ただちに船へ戻りなさい」と船長に命令。さらに、いらだった様子で「船に何人乗っているのか報告しなさい。子供と女性と乗客はそれぞれ何人だ?」と問いかけ、「何をしている?救助を放棄するつもりか?」と声を荒げている。

 だが船長は、同日行われた検察当局の取り調べで、乗客全員を救助する前に船から逃げ出したという疑惑を否定した。それどころか、座礁後に船を岸に向ける操縦により、多くの命を救ったと主張した。

 だが捜査当局は、エンジンルームが浸水した状態で11万4500トンの船を操縦することは不可能だったとみている。

 伊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)によると、船長は捜査当局に対し、事故時に舵を握っていたのは自分であり、船が傾いた際に海に投げ出され、傾いた船に戻ることはできなかったと供述したという。

 船長は正式には起訴されていないが、弁護士によると、裁判所は17日、船長は逃亡する恐れがあるため自宅軟禁に置くべきとの判断を下した。検察当局によると、有罪になれば禁錮15年を言い渡される可能性がある。

■新たに5遺体発見

 なお、17日の救助活動では、爆薬を使って船体に穴をあける措置がとられ、新たに5人の遺体が発見された。これで、死者数は計11人となった。依然として24人前後が行方不明となっている。(c)AFP/Ljubomir Milasin

【動画】
船長と港湾当局者の生々しい交信記録(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)
傾いた船上で救助を待つ乗客たち(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)