【1月5日 AFP】ジャンプするトカゲは、空中で尻尾の位置を調節することによりスムーズに着地している――。米カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)の生体力学のチームが、トカゲの着地動作に関する研究結果を4日発表した。敏捷な恐竜も同じメカニズムを利用していた可能性があるという。

 研究チームは、アフリカに生息するアガマトカゲの1種の動きを観察することにした。

 水平の地面から垂直の壁にジャンプしたトカゲを撮影し、スローモーションで見ると、トカゲは正確に着地するために体の前面を反らす必要がある時、細長い尻尾を上向きに曲げていることが分かった。このように尻尾をカールさせることで時計回りの動きが生まれ、体の前面は反時計回りに傾いた。こうして、脚から無事に壁へ着地していた。

 トカゲたちは知ってか知らずか、慣性モーメントによる「角運動量保存の法則」という原理を用いていた。綱渡りをする曲芸師も、この原理を用いている。長いポールを使ってバランスをとっており、ポールを傾けると体は反対側に傾く。

■尻尾で角度を修正

 研究チームは、トカゲの敏捷性を科学技術で再現できるかどうかを調べるため、ジャイロスコープによる姿勢制御機能をもつ尻尾を付けたトカゲサイズのロボットカー、その名も「テールボット(Tailbot)」を作成した。

 このロボットを斜面からジャンプさせると、頭から突っ込む角度で落下を始めたが、すぐに尻尾の動きで正しい角度に修正され、車輪から着地することができた。

 キツネザル、ネコ、カンガルーネズミなど一部の生物が、尻尾で慣性モーメントを活用していることは、これまでの研究で指摘されていた。

 研究チームは、映画『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』に登場するヴェロキラプトルなど獣脚類の小型肉食恐竜も、同様の力学を使っていたのではないかと推測している。ただし研究チームによる恐竜の骨と筋肉の割合の推計が正しいと仮定した場合、大型恐竜が高くジャンプできたとは考えられにくいという。(c)AFP