【1月4日 AFP】英国の画家デイヴィッド・ホックニー(David Hockney、74)は3日、ロンドン(London)での大々的な個展を前にした雑誌インタビューで、多くのアシスタントの手を借りて多数の作品を制作してきた英国現代アートの巨匠ダミアン・ハースト(Damien Hirst)を痛烈に批判した。

 生まれ育ったヨークシャー(Yorkshire)の風景を描き続けたこの3年間の集大成とも言うべき個展「David Hockney: A Bigger Picture」は、英王立芸術院(Royal Academy of Arts)で今月21日に開幕する。その宣伝ポスターには、意味ありげな1文が記されている。「展示されるすべての作品は、画家本人がたった1人で制作したものです」

 英誌ラジオ・タイムズ(Radio Times)のインタビューで、「(この1文は)ハーストへの皮肉なのか」と問われたホックニーは、「そうだ」とうなずいて、こう続けた。「職人たち、それも熟練した職人たちを少しおちょくってやったんだ。わたしは、美術学校でこう言い続けてきた。技術は教えられるが、詩的表現は教えられないと。だが彼らときたら、技術は教えず、詩的表現だけを教えようとしている」

 ホックニーは絵描きに関する中国の故事も引き合いに出した。「絵を描くには目と手と心が必要で、2つでは成り立たないということわざがある。(昨年亡くなった現代画家の)ルシアン・フロイド(Lucian Freud)にもよく言っていたのだが、『絵は老人の芸術』という私の好きなことわざもある」

 ホックニーは1日、芸術、文学、科学分野で功績を収めた英国人に贈られる特別栄誉賞をエリザベス女王(Queen Elizabeth II)から授与された。1990年にはナイトの爵位を辞退したことで知られている。

 一方ハーストは、トレイシー・エミン(Tracey Emin)と共に、1990年代の「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」運動の旗振り役となった。ウシやサメなどホルマリン漬けにした動物をガラスケースに閉じ込めた作品や、頭蓋骨にダイヤモンド8601個を散りばめた作品などが有名だ。(c)AFP