【1月1日 AFP】チリ南部のトーレス・デル・パイネ国立公園(Torres del Paine National Park)で12月27日に大規模な山火事が発生し、12月31日までに約1万1500ヘクタールが焼けた。

 チリの首都サンティアゴ(Santiago)から約3000キロ南に位置し、2400平方キロにわたって山・氷河・森林・湖などの豊かな自然が広がる同公園は、年間10万人以上が訪れるほど人気が高い。

 折からの乾燥した気候の中で急速に延焼し、当局は同公園にいた主に観光客の700人を避難させた。セバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領は、非常事態当局との会議の後、1月中は同公園を閉鎖すると発表した。

■さらに数日続く見込み

 チリ政府は兵士、消防隊員、森林レンジャーら300人に加え消火飛行機4機と消火ヘリ1機を投入して必死の消火活動を行っている。

 31日になって風が弱まり、湿度も上がったため消火活動が行いやすくなったものの、気象条件は再び悪化すると予想されており、当局は山火事はさらに数日は続くとみている。

 エクアドルの環境NGOアクシオン・エコロジカ(Accion Ecologica)は、チリ政府が教育改革を求める学生デモ隊に放水銃を使用したときに示した放水の才能を山火事の消火活動でも発揮してほしかったと指摘し、チリ政府の山火事への対応の遅さを批判した。

 ピニェラ大統領は31日、諸外国に「必要なあらゆる支援」も求めていくと発表した。チリ政府はアルゼンチン、オーストラリア、米国に連絡をとり、隣国のアルゼンチンはすでに緊急チームを送っている。31日には不注意で山火事を起こしたとしてイスラエル人観光客(23)が逮捕されたが、保釈金を払って釈放された。(c)AFP/Paulina Abramovich

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