【12月29日 AFP】気温がしょっちゅう氷点下まで下がる東北地方の冬。仮設住宅に暮らす人々は、長く厳しい冬への備えを固めている。2月にかけて、東日本大震災を生き延びた人々の苦難に、猛吹雪が追い打ちをかける。

 宮城県石巻市では、津波で全6万1000戸の半数以上が全半壊した。市はこれまでに7000戸を超える仮設住宅を建設し、約6800世帯が入居。自治体が借り上げたアパートで暮らす人たちも6500世帯に上る。だが、残る2万世帯について市当局は現状を把握できておらず、これらの人々が無事にこの冬を過ごせるか、懸念を募らせている。

「遠くの親戚のところに身を寄せているのか、被害が少なければ自宅にそのまま住んでいるのだと思う。でも実態はつかみきれない」と、ある当局者はAFPの取材に語る。

 カミヤマ・ヒデコさん一家は震災後、崩れかけた自宅の2階に住み続けてきた。1階を埋め尽くした震災ごみが悪臭を放つ中、改築工事を辛抱強く待った。「震災の後、全壊指定されて。でもボランティアさんとか大工さんが一生懸命直してくれました。8割くらい直りました」と感謝をにじませるカミヤマさんは、寒さをしのぐため上着をきつく体に巻きつけている。

「ストーブをつけたりカーペットやひざ掛けをもらいました」

「背中にカイロ貼って。ボランティアさんたちからもらいました。寒いけど温かくしてくらせそうです」

 2月には気温がマイナス8度にもなる石巻。体を温めてくれるものなら何でも必要だ。だが、隣近所に融通してもらうというわけにはいかない。

「ここにも家があったのだけど」と、隣の空き地を指さしてカミヤマさんはつぶやいた。「ここの前の家も冬の間暖められないから壊しました」

■欲しいのは恒久的な解決策

 仮設住宅に暮らす人々は、質素な生活そのものにはほとんど不満がない。今狂おしく欲しているのは、恒久的な解決策が早期に見つかることだ。

 アベ・イシオさん一家は5月に仮設に入居した。3室に家族6人が暮らす。入居者は2年後には退去しなければならない決まりだが、2年が適切な長さなのか、アベさんは問いかける。ストーブも電気カーペットも支給され、今は良い暮らしをしているが、自分は失業者のままで次に何をすればよいかも分からない、と吐露した。

 石巻市役所の佐藤義則さんは、市当局は一生懸命やっているが、市民が長期的な安心を得ることができて初めて本当の復興と言える、と話す。

 住宅の再建には時間がかかる、どれだけかかるかは我々にも分からない、と佐藤さん。だが、アイデアがある程度まとまった段階で、本当の家にいつ戻れるかを市民に説明していきたいと話した。(c)AFP/Antoine Bouthier