【12月27日 AFP】西アフリカの小国・ギニアビサウの政府と軍は26日、同日クーデターの企てを阻止し、首謀した軍幹部らを逮捕したと発表した。

 アントニオ・インジャイ(Antonio Indjai)陸軍参謀長によると、同日早朝、少人数の兵士らが首都ビサウ(Bissau)にある陸軍参謀本部を襲撃し、同本部とカルロス・ゴメス・ジュニオル(Carlos Gomes Junior)首相の邸宅の周囲にバリケードを築いて「軍と政府の転覆を図った」が、軍により制圧された。なお、マラン・バカイ・サンハ(Malam Bacai Sanha)大統領はフランスで病気療養中のため不在だったという。

 軍は、事件に関連してJose Americo Bubo Na Tchuto海軍少将とWatna Na Lai元陸軍参謀長を逮捕したと発表した。同少将が首謀者と見ている。

 一方ゴメス首相も、クーデターの企てがあったことを認め、政治家が関与していたかを調査中だと述べた。

 流血の事態に発展したかは不明で、死傷者数も発表されていないが、AFP記者は、頭を負傷し病院に搬送されるNa Lai氏を目撃した。

 なお、企てに参加した部隊の代表を名乗る兵士は、「昇給を求めた行動であって、純粋に軍内部の問題だ。国を攻撃する意図は全くなかった」と釈明しているという。

■クーデターと暗殺の歴史

 ギニアビサウの歴史は、1974年にポルトガルから独立以来、クーデター、軍の反乱、暗殺に彩られている。主に南米から欧州に麻薬が密輸される際の「ハブ」にもなっている。

 逮捕されたBubo Na Tchuto少将には、2008年に当時のジョアン・ベルナルド・ビエイラ(Joao Bernardo Vieira)大統領に対するクーデターを企てたとして起訴された過去がある。だが2010年5月に軍事法廷により無罪放免となり、ほどなく海軍参謀長に任命された。

 なお、ビエイラ大統領は09年に軍兵士らにより殺害されている。

 64歳のサンハ現大統領は、ビエイラ大統領の暗殺を受けて行われた大統領選を経て就任したが、健康悪化により任期の大半を海外の病院で過ごしている。前月に隣国セネガルの病院に入院後、フランスの病院に移されており、パリの病院で死去したとの噂が流れたが、大統領府は今月初め、これを否定している。(c)AFP/Allen Yero Embalo

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