【12月22日 AFP】中国南部・広東(Guangdong)省の共産党委員会の朱明国(Zhu Mingguo)副書記が21日、土地をめぐる地元共産党当局の汚職に抗議している烏坎(Wukan)村の住民の代表と協議し、警察が拘束した住民側指導者3人の釈放と拘束中に死亡した1人の遺体の引き渡しに合意した。住民側代表が明らかにした。

 9日に指導者4人を拘束してから村を包囲していた警察は、既に包囲を解いた。今後、10人からなる当局の調査団が住民側の主張を聞くため烏坎村を訪れることになっている。

■地元メディア、地元共産党当局を一斉批判

 合意から一夜明けた22日の中国メディアは、烏坎村の共産党当局が住民らの訴えを放置したため騒ぎが拡大したと一斉に批判。国内の地方当局に「国民を最優先せよ」と要求した。

 中国共産党の機関紙、人民日報(People's Daily)は、地方当局が「住民らの正当な要求に注意を払い損ねた」ため、「正当な請願を行き過ぎた住民運動に拡大させてしまった」と報じた。

 国営英字紙・環球時報(Global Times)は社説で、「国民のあらゆるもめ事を真剣に受け止め、国民の要求に対して責任ある態度を示す」よう地方当局に呼びかけるとともに、こうした当局と住民の争議は今後も増加するだろうとの見通しを示した。

■「草の根レベル」の「文明的解決」、党治安部門トップが要請

 一方、共産党の治安部門トップは同日、各当局に対し、住民らの争議はただちに解決し、取り締まる場合は「文明的な」手段で行うよう強く求めた。

 新華社(Xinhua )通信によると、党政治局常務委員で治安部門を統括する中央政法委員会トップの周永康(Zhou Yongkang)書記は、国内でこのところ急増している社会不安に言及し、中央政府が暴動の予防に取り組んでいる中、地方当局は「草の根レベル」で争議を解決するよう努めなければならない、と述べた。(c)AFP

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