【12月24日 AFP】男子テニスの2011年は、グランドスラムで3勝、マスターズシリーズで5勝を挙げ、シーズン成績70勝6敗、賞金1260万ドル(約10億円)を獲得したノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)が王者に君臨したシーズンだった。

■圧倒的な強さで大躍進を果たしたジョコビッチ

 2010年の男子テニス・国別対抗戦デビスカップ(Davis Cup 2010)で母国セルビアを初優勝に導いたジョコビッチは、1月の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2011)で自身2回目となる大会制覇を果たすと、6月の全仏オープンテニス2011(French Open 2011)準決勝でロジャー・フェデラー(Roger Federer)に敗れるまで、シーズン開幕から43連勝を記録した。

 また、ジョコビッチは全豪オープンを制した勢いそのままにBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2011)、ソニー・エリクソン・オープン2011(Sony Ericsson Open 2011)、マドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2011)、イタリア国際(Internazionali BNL d'Italia 2011)を制し、2011年の前半だけでマスターズを4回優勝している。

 ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2011)決勝でラファエル・ナダル(Rafael Nadal)を下し、世界ランキング1位に立ったジョコビッチは、続く全米オープン(The US Open Tennis Championships 2011)の準決勝で2セットを先取されながらもフェデラーから逆転勝利を収め、決勝ではナダルを破った。

 全米オープン終了時点でジョコビッチは64勝2敗の成績を残しており、1984年に米国のジョン・マッケンロー(John McEnroe)氏が記録した年間成績82勝3敗を更新する可能性もあった。

 ナダルに6戦全勝、フェデラーに5戦4勝、世界ランク4位のアンディー・マレー(Andy Murray)に3戦2勝の成績を収め、「信じられない1年だった。キャリア最高の1年をいつまでも覚えているだろう」と語ったジョコビッチだが、シーズン終盤は背中と肩の故障の影響により4大会連続で敗退を喫し、大躍進を遂げた2011年の幕を閉じた。

■全仏で通算6度目の優勝を飾るも、世界ランク1位から陥落したナダル

 全仏オープンでスウェーデンのビョルン・ボルグ(Bjorn Borg)氏と並ぶ同大会通算6度目の優勝を飾り、グランドスラム通算優勝回数を10回に伸ばしたナダルだったが、世界ランク1位の座をジョコビッチに譲り、疲労困憊に陥るなど、2011年は失意のシーズンとなった。

 しかしながらナダルは、12月にスペインのセビリア(Seville)で行われたデビスカップ(Davis Cup 2011)決勝で母国スペインに通算5度目の優勝をもたらしており、新シーズンへ向けて復調の兆しを見せている。

 2011年に世界ランク上位4選手の中で最多となる84試合に出場したナダルは、常時コートに立ち続けることが障害になると考え、ロンドン五輪とジョコビッチとの新たなる戦いに向けて体力を温存するため、2012年のデビスカップに出場しないことを決断した。

 2011年シーズンは全仏制覇を含むツアー3勝を挙げているナダルは「状況を打破するため、より練習に励み、もっとテニスについて考え、できる限り状態を維持し、コートの内外でためになることをしていく」と話した。

■シーズン終盤に復活を果たしたフェデラー

 一方、2011年に30歳の誕生日を迎えたフェデラーは、2002年シーズン以来となるグランドスラム無冠に終わったものの、全盛期は過ぎたと考えていた多くの人たちの見解に反する活躍を見せた。

 グランドスラムで2セットを先取した試合は178連勝中だったフェデラーは、ジョーウィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga)と対戦したウィンブルドン準々決勝で初めてセットカウント2-0から逆転負けを喫し、続く全米オープン準決勝でも同スコアからジョコビッチに敗れる屈辱を味わった。

 しかし、1月にカタール(Qatar)のドーハ(Doha)で行われたカタール・エクソンモービル・オープン(Qatar ExxonMobil Open 2011)で優勝しているフェデラーは、11月に故郷のスイス・バーゼル(Basel)で行われたスイス・インドア(Swiss Indoors Basel 2011)、パリ・マスターズ(BNP Paribas Masters 2011)、ATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals 2011)と出場した3大会を連続で制し、2011年シーズンを17連勝で締めくくった。

 通算6度目のATPワールドツアーファイナル制覇を果たしたフェデラーは「私にとって素晴らしい締めくくりとなった。来年が楽しみだ」とコメントしている。(c)AFP/Dave James