【12月17日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)が発行している雑誌が、高齢者の扱いが悪いとして日本と中国を批判する記事を掲載した。イスラム原理主義勢力などの動きを監視している米民間情報機関SITE インテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)のウェブサイト、サイト・モニタリング・サービス(SITE Monitoring Service)が16日、明らかにした。

 アフガニスタンのアルカイダが発行しているプロパガンダ雑誌「Vanguards of Khorasan(ホラーサーンの先導者)」のホッサム・アブドゥル・ラウーフ(Hossam Abdul Raouf)氏は、「彼らは自分の肉を食らい、自分の骨を吐き出す」というタイトルの記事の中で、日本で「孤独な」高齢者による窃盗事件が増えているという情報源不明のニュースを引用し、そうした風潮は世界の経済大国になった日本が、「完全に物質主義の西欧文化」を受け入れたからだと批判した。

 また、中国社会は伝統的に高齢者を大切にしてきたのに、今では高齢者や都市部住民の自殺率が上昇していると警告し、「こうした貧しい人びとがイスラム教を信仰していれば、彼らの状況は違っただろう。老人は尊重され、尊敬を受け、大切に扱われていただろう。老人は安楽の日々を過ごし、そうした暮らしを手に入れるために金銭を乞う必要もなく、悪事に走る必要もなく、絶望から逃れるために自ら命を絶つ必要もなかっただろう」と論じている。

 さらにイスラム教社会では、イスラム教徒でない高齢者も大事にすると説き「これが無知な者たちが気づかず、詐欺師や頑固者たちが認めようとしないイスラムの偉大なところだ」と述べている。

 ラウーフ氏が具体的にどの報道を引用したのかは明らかにされていない。過去20年近くデフレと戦っている日本について「インフレに苦しんでいる」と書くなど、東アジア情勢に詳しいとは思えない記述もある。

 アルカイダは過去に自衛隊のイラク派遣をめぐり日本を脅迫したことがある。また中国へは、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のイスラム教徒たちの殺害されたことに報復すると明言している。しかし、ほとんど欧米を標的にしてきたアルカイダがアジアの国を批判したのは珍しい。(c)AFP