【12月16日 AFP】南京虐殺を描いた新作映画のプロモーションで中国を訪問中の英俳優クリスチャン・ベイル(Christian Bale)さんが15日、自宅軟禁下に置かれている盲目の人権活動家、陳光誠(Chen Guangcheng)氏(40)に会おうとして、阻止しようとする警備要員と小競り合いになっていたことが16日分かった。

 ベイルさんは、個人的に「感銘を受けた」という陳氏に会うため、米CNNテレビのクルーとともに、北京(Beijing)から車で8時間ほどの距離にある山東(Shandong)省臨沂(Linyi)村へ向かった。

 CNNの映像には、人民開放軍と同じ濃緑色のコート姿の警備要員がベイルとCNNクルーらを小突いたり、カメラを奪おうとする様子が映っている。この警備要員らは、CNNが別の取材で2月に臨沂村を訪れた際にもいたという。

 ベイルさんは、カメラを取り上げようとする警備要員に向かって「なぜ会わせないんだ」と繰り返し叫んだが、最終的にはあきらめ、CNNクルーとともに車に戻った。だが、ベイルさんらの車はその後、警備要員らの車に山道を40分も追跡され、車体が損傷したという。

 ベイルさんは車内で、「僕はそれほど勇敢ではないが、中国の人たちが当局に立ち向かい、陳氏や彼の家族に会おうとして、そのために殴られている。彼らを支援したいんだ」と語った。

■「一人っ子政策」の闇を暴露

 弁護士の陳氏は、中国の「一人っ子政策」の下、山東省で女性数千人に避妊手術や中絶が強要されていた事実を告発したことで知られるが、現在は自宅軟禁下にある。陳氏の釈放を求める人権活動家たちは臨沂村を訪れるようインターネット上で何度も呼びかけており、村には人々が次々とやってくるが、陳氏の自宅に近づこうとすると警備要員に殴られるという。

 ベイルさんは『ダークナイト(Dark Knight)』などのバットマン役を演じ、『ザ・ファイター(The Fighter)』で第83回アカデミー賞(Academy Awards)の助演男優賞を受賞した。今回は、南京虐殺を描いた主演作『The Flowers of War』のプロモーションで中国を訪問している。(c)AFP

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