【12月16日 AFP】ソニー(Sony)は15日、段ボールや古新聞など不用となった紙ごみから電気を作り出す新技術を、都内で開幕した環境展示会「エコプロダクツ2011(Eco-Products 2011)」で公開した。

 ソニーでは、植物に含まれる栄養素である炭水化物(ブドウ糖)を酵素で分解して発電する「バイオ電池」の研究に取り組んでいる。

 今回開かれた子ども向けのワークショップでは、ブドウ糖が鎖状に長くつながったセルロースを取り出すのに、シュレッダーにかけた古紙やダンボールの破片を使用。水と酵素の入った混合液にこの破片を入れて振り、数分間待ってできた「電気の元」で小さな扇風機を回す実験に子どもたちが挑んだ。

 このバイオ電池では、酵素によってセルロースの鎖を断ち切り、結果生じたブドウ糖をまた別の種類の酵素によって分解し、水素イオンと電子を取り出す。水素イオンはセパレーターを介して負極側から正極側に移動し、正極側で空気中の酸素を取り込んで水を生成する。この電気化学反応中、電子が外部回路を通って移動する間に電気エネルギーを取り出す。

 ソニー広報部によるとこの発電方法は、昆虫が植物を食べてエネルギーを得るのとメカニズム。学術分野では研究されてきたが、実演は珍しいという。

 ソニーは2007年、最初のバイオ電池を公開した。今では、電池サイズは小さなシート状にまで小型化している。バイオ電池は金属や有害化学物質を一切使わないため環境に優しく、大きな可能性を秘めていると、ソニーでは期待を込めている。(c)AFP

【参考】エコプロダクツ2011「紙から発電するソニーのバイオ電池」