【12月15日 AFP】土地をめぐる地元共産党当局の汚職に対して住民らが抗議を続けている中国南部・広東(Guangdong)省烏坎(Wukan)村で、8日から警察が村を包囲して「兵糧攻め」にしている。村では水や食糧が底を付きかけているが、村民たちは抵抗を続けると話している。

■逮捕された村民が急死

 烏坎村は人口約1万3000人の漁村。村民たちは、地元当局が不正に村の土地を収用し、元の持ち主に賠償もしてこなかったとして抗議を続けてきた。9月には村民らが警察署を襲撃し当局との衝突する事件も起きている。

 警察は9日、9月の暴動に関与したとして村民5人を逮捕したが、暴動を主導したとされた村の指導者の1人、薛錦波(Xue Jinbo)氏(42)が拘束中に死亡。村民側がいっそう態度を硬化させる事態となった。警察は、薛氏にはぜんそくと心臓病を患っており心不全を起こしたと説明しているが、村民側は遺体にはあざがあり撲殺されたに違いないと主張している。

 封鎖6日目となる14日も、村に通じる道は特殊装備で武装し催涙ガスを携行した警察官たちに封鎖されたままだ。AFPの電話取材に応じた村民たちによると、8日夜から村の入口で検問が実施され、ごく一部の女性と子どもを除いて入村は厳しく制限されている。また、インターネットも遮断されているという。警官の人数は1000人以上で日々増えていると証言する村民もいた。

 烏坎村を管轄する陸豊(Lufeng)市当局は、村周辺には警察、武装警察、消防の放水車が配備され「村の秩序維持に努めている」と述べた。

■厳しい報道管制、ネット上から消された村

 報道関係者の入村は許されていない。AFPの写真記者も14日に入村を試みたが、村から数キロ手前の検問所で武装警官に行く手を阻まれ、警官に付き添われて広東省深セン(Shenzhen)に戻らざるを得なかった。

 中国の国営メディアは烏坎村をめぐる一連の抗議行動についてほとんど報道しておらず、インターネットでは村の名前での検索が当局に遮断されている。抗議行動が全国に拡大するのを防ぐためとみられる。

 不動産バブルが続いた中国では、地方当局が開発業者と結託して不正な不動産取引で巨額の利益を上げ、当局の収入源とする事例が相次ぎ、非難の的となっている。

 地元当局は9日の声明で、9月の暴動の原因となった数件の不服申し立ては既に解決し、村の当局者2人を解雇したと発表したが、村民の怒りは収まっていない。ある住民は、「中央政府に私たちの問題を処理してもらいたいと思っている。われわれはあきらめない。腐敗した役人は逮捕してほしい」と話した。(c)AFP/Peter Parks

【動画】15日に行われた住民の抗議デモ(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)