【12月14日 AFP】節税をしたい米国人は、自分の遺灰を納めたカプセルをロケットで宇宙に打ち上げる「宇宙葬」を検討してはどうだろうか。

 米メディア報道によると、バージニア(Virginia)州の議会で提出された法案は、「宇宙葬」の費用について最大で8000ドル(約63万円)まで税を控除するという内容で、年明けに審議に入るという。

 州政府によれば、「宇宙葬」には経済効果も期待できるという。バージニア州商業宇宙飛行当局のJ・ジャック・ケネディ(J. Jack Kennedy)氏は、「法案に冗談めいた側面があることは認識している。だが、いまや冗談にとどまる話ではない。ビジネスや雇用チャンスに関わる話なんだ」とニュース専門テレビWTVRに語った。

 つまるところ、その目的は州内のワロップス島(Wallops Island)にある中部大西洋地域宇宙基地(Mid-Atlantic Regional Spaceport)への集客だ。

 WTVRのウェブサイトに掲載された同州観光委員会のドナ・ボザ(Donna Bozza)氏の説明では、宇宙葬に訪れた参列者たちは州内のレストランやホテルを利用し、ひいては観光施設にまで立ち寄ってくれるかもしれない。

 現在のところ、宇宙葬ビジネスはテキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)を拠点とするセレスティス(Celestis)の独占状態だ。セレスティスによると、これまで10回、宇宙葬のロケットを打ち上げたという。

 料金は、遺灰を納めたカプセルをロケットで打ち上げるものが最低1000ドル(約7万8000円)からで、遺灰を月に送る「月面葬」の場合は1万ドル(約78万円)だ。

 セレスティスでは2014年をめどに、「あなたの愛しい人を、月の軌道から離れた果てしない宇宙へ、永遠の旅に送り出そう」との触れ込みの「ボイジャー葬(Voyager Service)」を企画している。故人の遺灰1グラム分の料金は、1万2500ドル(約97万円)から。 

 過去に宇宙葬に付された著名人には、幻覚剤LSDの推進者として知られる心理学者で作家のティモシー・リアリー(Timothy Leary)さん、人気SFテレビドラマシリーズ「スタートレック(Star Trek)」のスコッティ(Scotty)役の俳優ジェームズ・ドーハン(James Doohan)さん、米航空宇宙局(NASA)の有人宇宙飛行「マーキュリー計画」の宇宙飛行士ゴードン・クーパー(Gordon Cooper)さんなどがいる。(c)AFP