【12月7日 AFP】米国の大統領たちの多くは、就任するとすぐに白髪やしわに悩まされるようになるが、引退後は富と手厚い医療のおかげで、平均的な男性よりも長生きするという研究結果が、7日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に発表された。

 米国の大統領たちは在任中に一般の人の倍の速さで老けるといういくつかの研究の指摘について、米イリノイ大学シカゴ校(University of Illinois at Chicago)の人口統計学者、S・ジェイ・オルシャンスキー(S. Jay Olshansky)氏は、実際にそれが事実かどうか確かめることにした。

 オルシャンスキー氏は、暗殺された4人の大統領、つまり第16代のエーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)、第20代のジェームズ・ガーフィールド(James Garfield)、第25代のウィリアム・マッキンリー(William McKinley)、第35代のジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)をのぞく歴代の大統領経験者について調査した。

 すると、老衰で自然死した34人の元大統領のうち23人は、「促進老化」による死亡年齢が67.0歳と推定されたにもかかわらず、実際の死亡年齢はそれを上回る平均78.0歳だった。

「促進老化」については、大統領在任期間中、当時の同年齢の男性の推定寿命から、毎日2日ずつ引かれていく計算とした。言い換えれば、大統領として4年間を過ごせば、残りの人生から8年が引かれる計算とした。

 しかし、米大統領経験者の大半は、そうして計算された年齢よりも平均11年、長生きしていた。 
 
 逆にその計算で導き出された死亡年齢よりも若く亡くなった大統領経験者の平均死亡年齢は62.1歳で、同じ年代に生きた男性たちの平均寿命よりもちょうど5年早かった。

 全体的には平均的な米国人男性の寿命は73.3歳で、すでに亡くなっている大統領経験者34人の平均死亡年齢、73.0と大差なかった。オルシャンスキー氏は「米国の歴代大統領は、他の米国人男性よりも亡くなるのが早いという証拠がないことが示された」と述べている。

 大統領経験者と米国人男性一般の平均寿命の差が最も大きかったのは、1789年に就任した初代大統領ジョージ・ワシントン(George Washington)から、1841年に就任したマーティン・バン・ビューレン(Martin Van Buren)まで、最初の8人の大統領の時代だ。当時の米国人男性の平均寿命は40歳を切っていたが、この最初の8人の大統領の平均寿命は79.8歳だった。

 オルシャンスキー氏は「現在のわたしたちは、社会経済的地位が寿命に大きな影響をもたらすことを知っている。それはこの時代にもあてはまる要因だったのだろう」と述べ、歴代大統領たちは10人をのぞき全員が大学卒業者で、全員が裕福で、また健康管理や医療にアクセスできていた点を指摘した。

 今年初め、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領(50)が急激に老け込んでいるとの報道が米メディアで増えたことから今回の調査を思い至ったオルシャンスキー氏は、「白髪やしわでは、われわれは死なない」と述べ、「オバマ大統領の変化は、米国や他のどこでも、同じ世代の男性に起きることと矛盾しない」と語った。(c)AFP