【11月27日 AFP】中国の不動産実業家がエコツーリズム・リゾート建設のために、アイスランド北部に位置する広大な土地の購入計画を提示している件に関し、アイスランド政府は25日、これを許可しない方針を明らかにした。

 オグムンドゥル・ヨーナスソン(Oegmundur Jonasson)内相は報道陣に「土地購入について特別免除を受けたいというこの中国企業の要請にイエスと答えることは不可能だ」と語った。

 中国人投資家、黄怒波(Huang Nubo)氏がリゾート建設を描いている300平方キロに及ぶアイスランドの荒野には国有地が含まれているが、欧州経済地域(EEA)の居住者以外が購入するためにはアイスランド政府の承認が必要で、黄氏は8月に許可を申請していた。黄氏は購入に1000万ドル(約7億7000万円)を支払い、さらにこの土地に2億ドル(約153億円)の投資を行うとしていた。

 黄氏の土地購買計画に対し、2週間前にアイスランド経済省は肯定的な姿勢を示し、承認するよう、審査を行う内務省へ勧告もしていた。アルニ・アルナソン(Arni Pall Arnason)経済相自らヨーナスソン内相宛ての10日付の覚え書きで「経済省としては、当該外国資本によってアイスランドの国益が脅かされると考えるに足る理由は何も見出さない」と記していた。それだけに計画却下は予想外の展開となった。

 現地ニュースサイト「visir.is.」によると、アイスランドでの黄氏の代理人であるハルドル・ヨーナスソン(Halldor Jonasson)氏は「残念だ」と述べると同時に「驚きだ」とも語った。同氏によれば、アイスランドの法律では購入される土地の大きさに関する規定は何もないという。

 またヨハンナ・シグルザルドッティル(Johanna Sigurdardottir)首相も同ニュースサイトの取材に対し、決定は「法律の非常に狭い解釈」に基づいたもので悔やまれると述べた。首相は決定を下すのはヨーナスソン内相の権限だと認めた上で、内相は政府の意見を求めもしなかったと語った。

 ヨーナスソン内相によると、今回の決定は最終的なもので、不服の申し立てはできない。(c)AFP