【11月25日 AFP】ロシア・モスクワ(Moscow)で、ギリシャから巡回してきたキリスト教の聖遺物「聖母マリアの帯(Belt of the Virgin Mary)」を一目拝もうとする信者らの行列が、長さ5キロ、地下鉄4駅分にまで及んでいる。

「聖母マリアの帯」は、ギリシャにある女人禁制の聖地アトス(Athos)山のバトペディ(Vatopedi)修道院に保管されている聖遺物で、めったに公開されない。ロシアでの公開は初で、10都市を巡回し、19日にモスクワの救世主ハリストス大聖堂(Cathedral of Christ the Saviour)に到着した。

 大聖堂前には気温が氷点下を記録する中、24日だけで8万2000人が長蛇の列を作った。モスクワ市当局によると、忍耐強い信者らの行列は19日から通算で40万人を超えたという。

「聖母マリアの帯」は多産や病気治癒に御利益があると信じられている。「願い事があるんだ。ここには、興味本位で並んでいる人などいないよ」と話すイワンさん(40)は、妻や子どもと一緒に昨夜から12時間並んでいるという。各メディアは、「聖母マリアの帯」を見物するまでの待ち時間は最大26時間と報じている。

 あまりの盛況ぶりに、ロシア正教会は「聖母マリアの帯」の公開期間を3日間延長し、27日までとした。関係機関では一部道路を通行止めにするなど行列への対応に追われている。

 ロシアでは、旧ソビエト連邦時代に弾圧を受けていたロシア正教会の影響力が近年、増している。救世主ハリストス大聖堂は1931年に旧ソ連政府によって爆破されたが、1997年に同じ場所に再建された。(c)AFP/Maria Antonova