【11月23日 AFP】生まれてくる子どもが女児だと分かった場合の堕胎や嬰児殺しが急増しているインド、ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州は今月12日、対策として、出産前の性別判定検査を行っている人物に関する情報を提供した場合には報奨金を支払う方針を発表した。

 同州のシャム・ラル・シャルマ(Sham Lal Sharma)保健相は声明で「通報者には全員2万5000ルピー(約3万7000円)の報奨金を付与する。通報者の名前は公開しない」と述べた。

 今年3月末に発表された2011年の国勢調査の暫定版によると、インドの子どもの男女人口差は不均衡の拡大を懸念させるもので、男児1000人に対し女児914人となっており、1947年の独立以来、女児の割合が最も少なかった。

 中でも女児が最も減ったのがジャム・カシミール州で、0~6歳の年齢層では男児の数を1000とした場合の女児の割合は859で、10年前に比べて82ポイントも下がっており、同州当局には衝撃が走った。

 国連(UN)の世界人口統計によると、子どもの男女比の世界平均は男児1000人に対し、女児984人となっている。

■男児は稼ぎ手、女児は経済的重荷

 インドの家庭では、男児は稼ぎ手になるが、女児は結婚して家を出る際に多額の持参金が要るために経済的負担になるとみなされる傾向があり、そのため女性には男児を出産してほしいという大きなプレッシャーがかかる。
 
 今回の人口調査の結果に対してカシミール州当局がとった最初の措置は、超音波スキャナーの無免許使用の取り締まりだった。超音波スキャナーは軽量で持ち運びができるため、辺境地での性別判定検査も可能にしている。

 胎児の性別判定を行うことはインドでは違法だが、多くのクリニックでは低額で判定検査を実施しており、女児の場合は中絶したいという希望をあおっている。(c)AFP/Izhar Wani