【11月23日 AFP】南アフリカ下院は22日、機密文書の保持や公開を禁じる国家情報保護法案を賛成多数で可決した。下院の議席は与党アフリカ民族会議(African National CongressANC)が大半を占める。

 同法案によれば、違反者には最大で禁錮25年の刑が科される。社会の利益となる情報も対象になることから、「民主主義を脅かす」「汚職の実態が暴かれなくなる」などと物議を醸していた。

 ケープタウン(Cape Town)の議会を傍聴していたジャーナリストらは、法案が可決されると、怒りをあらわに退場した。議場の外では黒服姿の数百人が「ネルソン・マンデラ、助けて。私たちの自由を守って」「リビア、エジプト、チュニジア、次はANC?」と書かれたプラカードを掲げてデモ行進した。

最大野党の民主同盟(Democratic Alliance)と南アフリカ記者クラブは、法案が大統領の署名を経て成立した場合には、憲法裁判所に提訴する方針を示した。

 法案可決を受け、デズモンド・ツツ(Desmond Tutu)元大主教とネルソン・マンデラ記念館(Nelson Mandela Centre of Memory)はそれぞれ憂慮を表明した。

 南アフリカのノーベル文学賞受賞者、ナディン・ゴーディマ(Nadine Gordimer)氏も、21日に行われたAFPとのインタビューで、法案は言論の自由を制限したアパルトヘイト(人種隔離政策)時代へ逆行させるものだと、ANCを批判している。(c)AFP/Justine Gerardy