【11月23日 AFP】米大リーグ(MLB)機構と選手協会は22日、両者が2016年まで5年間有効の新労使協定締結に合意したと発表した。

 新協定は、約4か月半にわたるロックアウト(施設封鎖)が行われた全米プロアメリカンフットボール・リーグ(NFL)、現在も続いている米プロバスケットボール協会(NBA)とは異なり、旧協定失効の3週間前に締結された。MLBでは1994年にワールド・シリーズ中止などの影響が出たストライキが実施されたが、翌95年に解決して以降は交渉が滞りなく合意に達している。

 米プロリーグでは過去に北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)で労使協定が合意に至らなかったため、米スポーツ初のシーズン中止となった。また、NBAはオーナー側と選手会による労使交渉が現在も難航しており、開幕から1か月半の日程が中止されている。

 2012年にMLBコミッショナーの任期満了を迎えるバド・セリグ(Bud Selig)氏は、「70年代、80年代、そして94年当時の人たちが、労使協定が21年間も無事に保たれることになるとは誰も信じないだろう」と話した。

■HGH検査導入や、プレーオフシステムが変更された新協定

 新協定には、ヒト成長ホルモン(Human Growth HormonesHGH)の使用を調査するための血液検査、プレーオフシステムの変更、2013年にヒューストン・アストロズ(Houston Astros)がナ・リーグ中地区からア・リーグ西地区に移転することが盛り込まれた。

 HGHの血液検査で陽性反応を示した選手には、ほかの禁止薬物と同様に50試合の出場停止処分が科される。

 アストロズのリーグ変更は、1997年にミルウォーキー・ブルワーズ(Milwaukee Brewers)がナ・リーグに加入して以来のリーグ再編となった。これにより、両リーグともに15チーム編成となり、これまでシーズン中盤に行われていた交流戦が毎日1試合は組み込まれることになった。

 2012年か13年に実施されるプレーオフシステムの変更では、プレーオフ進出チームの枠が両リーグともに1つ増加することが決まった。シーズン成績により決定されるワイルドカードの2チームが1試合を行い、勝者が地区シリーズに進出することになる。

 システム変更によりMLBのプレーオフ出場枠は30チーム中10チームに増えたが、NFLは32チーム中12チーム、NBAとNHLは30チーム中16チームがプレーオフに進出するため、MLBのポストシーズン進出は米4大プロスポーツの中で最も狭き門となっている。

 また、ぜいたく税が課せられる基準となるチームの年俸総額は1億7800万ドル(約137億円)に設定され、2014年には1億8900万ドル(約145億円)まで上がることになった。

 選手への年俸最低保証は、現在の41万4000ドル(約3200万円)から48万ドル(約3800万円)に上昇し、2014年には50万ドル(約3900万円)に改定される。(c)AFP