【11月20日 AFP】(一部更新)エジプト首都カイロ(Cairo)で19日、同国を暫定統治する軍に抗議する座り込みデモが行われていたタハリール広場(Tahrir Square)で、強制排除に乗り出した警官隊がゴム弾や催涙弾を発砲してデモ隊と衝突、1人が死亡、750人が負傷した。また、デモはアレクサンドリア(Alexandria)や南部アスワン(Aswan)、スエズ(Suez)などの都市に広がり、アレクサンドリアでは機動隊との衝突で1人が死亡した。

 現地医師によると、タハリール広場で死亡したのは、発砲を胸部に受けて負傷した男性(23)。エジプト保健省報道官によると、同広場で起きた衝突による負傷者は750人に上っている。

 また、半国営の中東通信(MENA)によると、アレクサンドリアとスエズでは、機動隊がデモ隊に催涙弾を発砲。現地医療関係者によると、アレクサンドリアでは、警官隊の発砲したゴム弾にあたった男性(25)が死亡した。

 タハリール広場は、2月にホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)政権を打倒した18日間の反体制デモの中心地となった場所。軍の暫定統治に抗議する今回のデモも、民衆蜂起「アラブの春(Arab Spring)」の原動力となった人びとが組織している。

 広場のデモ隊は、エジプトを暫定統治する軍最高評議会のムハンマド・フセイン・タンタウィ(Muhammad Hussein Tantawi)議長の退陣を求めて「タンタウィを倒せ」とスローガンを叫んだ。デモ隊が投石などを行うと、警官隊はゴム弾を集中砲火した。

 タハリール広場での座り込みデモはすでに数日間続いている。デモ主催者らは、ムバラク政権下でのデモ弾圧に関与した警察官や当局者に対する迅速な裁判を要求していた。さらに18日には、迅速な民政移行を求めて数万人が合流した。

 2月11日のムバラク氏退陣以降、エジプトを暫定統治する軍は大統領選挙後に権力を移譲すると述べているが、選挙の日程はまだ決まっていない。(c)AFP/Samer al-Atrush