【11月19日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が16日、訪問先のオーストラリアの首都キャンベラ(Canberra)で、同国北部のダーウィン(Darwin)に最大で2500人規模の米海兵隊を駐留させる方針を発表したことに対し、インドネシアは即座に「東南アジア地域に緊張をもたらしかねない」と懸念を表明した。

 このことは、米中がアジアでの影響力を確保すべくしのぎを削る中、関係各国が均衡を保とうとしていることを示している。世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアは、オバマ政権にとって重要な同盟国の1つとして急速に存在感を増したにもかかわらず、域内における米国の軍事力拡大については中国の懸念をそっくりそのまま繰り返してきた。

 インドネシアのマルティ・ナタレガワ(Marty Natalegawa)外相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開かれた同国のバリ(Bali)島で、「わたしがこの目で見たくないと思っていることは、こうした進展が反発を生み、またそれがさらなる反発を生み、緊張や不信あるいは疑念の悪循環を生むことだ」と訴えた。そして「だからこそ、この種の決定が下される際に非常に重要なのは、描いているシナリオについて透明性を確保し、誤解が生じないようにすることだ」と釘を刺した。

 インドネシアの率直な発言の背景にあるのは、ASEAN首脳会議に続いて19日に開かれる東アジアサミット(East Asia Summit)で、南シナ海(South China Sea)での領有権問題をめぐって米中が衝突する可能性があることだ。

 シンガポールのK・シャンムガム(K. Shanmugam)外相は16日、ASEAN加盟国は大国の「競合する国益の板挟み」になることを望まないと明言した。

 南シナ海問題では他国と並んで領有権を主張しつつ、中国との強い経済的つながりをもつマレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相は記者団に対し、「この地域の平和と安定を破壊したり、緊張を高めたりするような進展はまったく求めていないというのが、われわれの立場だ。米国が、この地域において中国と向かい合いながら、建設的にその役割を果たしていくことが重要だ」と述べた。

 しかし、同じく南シナ海における領有権問題の当事者であり、ASEAN首脳会議で米国との戦略的連携を肯定して中国を怒らせたフィリピンは、この地域で米国がプレゼンスを強化することを歓迎している。

 フィリピンのラモン・カランダン(Ramon Carandang)大統領報道官は「オーストラリアやこの地域における米軍の関与についてわたしが全般的にどう見ているかと聞かれれば、米軍の存在は究極には安定をもたらすと思っており、わが国は歓迎している」と語った。(c)AFP/Anwar Faruqi