【11月18日 AFP】肥満の危機が叫ばれて久しい米国で、冷凍食品業界を背負った議員たちが今、学校給食のピザのソースを「野菜」とみなす栄養管理制度の「抜け穴」を守ろうと動いている。

■ピザ1枚のトマトソースで野菜1人前

 非営利団体「公益科学センター(Center for Science in the Public InterestCSPI)」の栄養政策担当ディレクター、マーゴ・ウータン(Margo Wootan)氏によると、従来の規制では「野菜」はテーブルスプーン8杯分か、カップ1/2の分量を提供して初めて1人前とカウントされる。しかし、ピザ1枚に塗るトマトペーストをスプーン2杯分と定め、「野菜」とみなす「抜け穴」が存在する。

 そこで、学校給食を管轄する農務省は今年初め、トマトペーストを野菜1人前として数える場合にはテーブルスプーン8杯分が必要と定め、またフライドポテトやその他でんぷん質の多い食品メニューは週2回までに制限する改正案を提案した。

 しかし、米上下両院の合同審議会は今週、農務省の来年度予算案に盛り込まれたこの制限を否決した。14日発表された予算案は週内にも議会で承認される見込みだが、共和党は法案の概要で「あまりにもわずらわしく、費用もかかる規制」の敗北を喜び、「地域ごとの学校区のさらなる柔軟性」を歓迎すると述べている。
 
 業界ロビー団体、米国冷凍食品協会(American Frozen Food Institute)も、「カリウムや繊維質、ビタミンAやビタミンCなど、ピザソースに多量に含まれる栄養素を評価し、生徒たちがピザやパスタといった健康的な食品を今後も楽しめることが約束された」として動きを歓迎した。

■ペパロニピザを「野菜」に数える栄養管理とは?

 一方、CSPIのウータン氏は「栄養についてなど全く考えていない。ピザ業界を保護しているだけだ」と議員らを非難している。「ペパロニピザは、野菜とは言えない」

「議会がやったことは要するに、食品業界の利益を保護するための介入だ。学校給食として最も健康に悪い2つつの食品、ピザとフライドポテトを業界が今後も販売できるようにしたまでだ」とウータン氏は怒りを示した。(c)AFP