【11月18日 AFP】かつてアリゾナ(Arizona)州知事候補だったと名乗る男性が、旧ソ連のウクライナ西部で恋に破れ、ホームレスとなっていたところを慈善団体に保護された。この53歳の男性は、ケーリー・ドレゴ(Cary Dolego)氏名義の旅券を所持し、2010年の米アリゾナ州知事選に出馬したと語っている。

「ドレゴ」氏は、ウクライナ西部チェルニフツィ (Chernivtsi)の駅周辺でホームレスをしていたところを同市の慈善団体「人びとの支援」が発見し、同団体の施設に保護した。チェルニフツィはウクライナの中心から比較的遠くルーマニア国境に近い街だという。

 17日、AFPの取材に応じた慈善団体のアナスタシア・ベリゼさんによると、「ドレゴ」氏は発見当時「地べたに座って電車を眺めていた。典型的なホームレスに見えた。体も衣服も汚れており、非常に空腹だと訴えた」という。一方で、スーツケース数個とノートパソコンを持っていた。

 好奇心をかきたてられた団体スタッフが事情を尋ねると、インターネットで知り合った若いウクライナ人女性に会いに来たのだと「ドレゴ」氏は語った。しかし、女性は姿を現さず、「ドレゴ」氏は一言も言葉の分からない国で恋に破れたまま、ひとり立ち往生する羽目になった。銀行口座は停止されていて、手持ちの金も尽きてしまったのだという。

 ベリゼさんはそのときのことを次のように振り返った。「正直、彼の説明は不可解でした。たくさんしゃべったけれど、話し方は教育を受けた印象でしたね。落ち込んではいませんでした。それどころか、楽しそうで、楽観的だったんです」

「ドレゴ」氏は肺炎の疑いがあったため入院したが、今は回復している。ベリゼさんによると、週明けには首都キエフ(Kiev)へ向かい、来週23日に米国に帰国する予定。駐ウクライナ米国大使館は既にこの男性の帰国用の航空券を用意しているという。同大使館へも取材をしたが、コメントは得られなかった。

 ちなみに、アリゾナ州務省のウェブサイトには確かに2010年州知事選の記入投票候補者として、同州クイーンクリーク(Queen Creek)出身のケーリー・ドレゴ氏の名前がある。(c)AFP