【11月15日 AFP】米ニューヨーク(New York)市警察は15日未明、全米数都市や世界各地に広がった反ウォール街(金融街)デモ「オキュパイ(占拠せよ)」運動の象徴的な中心地となっていたズコッティ公園(Zuccotti Park)に突入してデモ隊を排除し、設営されていたテントを撤去した。市当局は、一時的な退去措置だとしている。

 ヘリコプターが公園上空を飛ぶ中、ヘルメットを着用した警官隊がデモ参加者らをトラックに押し込み、清掃班がテントを撤去し、ゴミ収集車が大量の看板を持ち去った。

 15日午前2時(日本時間同日午後4時)までには、抗議行動参加者の大半が警察の退去命令を聞き入れて同公園を立ち去った。AFP特派員によると、最後まで残っていた十数人は警官隊に取り囲まれていた。

 ニューヨークのマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長の事務所はツイッター(Twitter)で、「ズコッティ公園の占拠をしている者は一時的に退去し、テントや防水シートを撤去しなさい。公園の清掃が終われば、デモ参加者たちはまた公園に戻ることができる」と呼びかけていた。

 1か月前にも、私有地である公園の清掃のために退去を命じる計画があったが、そのときは直前になって当局が中止を決定し、デモ参加者たちは勝利宣言をしていた。だが15日は、警官隊は未明の突入でデモ参加者の不意をついた。デモ参加者の1人は「(警官たちは)軍隊のように突進してきた」と話した。

■米当局、取り締まりを強化か

 他の都市でも同様の措置が相次いでいることから、米当局は、開始から2か月が経ったウォール街と米ワシントンD.C.(Washington D.C.)のエリートたちに対する抗議行動に対する取り締まりを強化したものと見られている。

 14日未明には米カリフォルニア(California)州オークランド(Oakland)で、警官隊がデモ隊のテントなどを撤去し、30人以上が逮捕された。

 オークランド市のジーン・クアン(Jean Quan)市長は未明の作戦を行った理由について、野営地のそばで殺人事件があったためだと語った。「野営地は暴力が繰り返される場所になった。そして今週は殺人だ。だから他の犠牲者が出る前にキャンプを終わりにしなければならなかった」

 だがその数時間後、クアン市長の法律顧問で人権弁護士のダン・シーゲル(Dan Siegel)氏が、警察が撤去に乗り出す直前に、抗議するため辞任したと発表した。

 シーゲル氏はツイッターで「もうクアン市長の法律顧問ではない。午前2時(日本時間14日午後7時)に辞任した。1%の人びとと政府のまとめ役たちではなく、オキュパイ・オークランド(Occupy Oakland)を支持する」と述べた。その後クアン市長もシーゲル氏が辞任したことを確認した。(c)AFP/Sebastian Smith and Brigitte Dusseau