【11月12日 AFP】政府は12日、3月11日の東日本大震災で事故が発生した東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所を震災後初めて報道陣に公開した。

 防護マスクと防護服を着用してバスに乗った30人を超える報道陣の目に、津波で破壊され、冷却機能が失われた福島第1原発の荒れ果てた建屋が飛び込んできた。

 燃料の放射性物質で自発核分裂が起きていたことが先週になって発覚するなど不測の事態が相次いでいるが、政府と東京電力は年内に冷温停止できるとの見通しを示している。

 今回の取材ツアーは、問題解決が近いことを示そうとする東京電力の努力の一環で、外国メディアからは4人だけが参加を許可された。東京電力はこの日、平日の半数にあたる1600人が福島第1原発で作業していると説明した。

 一緒に福島第1原発を訪れた細野豪志(Goshi Hosono)原発事故担当相は、作業の司令塔となっている免震重要棟で、視察のたびに原発の状況は着実に改善していると思うと作業員たちに語りかけ、その労をねぎらった。

 細野担当相は年内に冷温停止を目指すという政府の目標を重ねて強調したが、廃炉には30年以上かかるという点にも言及した。

 NHKによると、福島第1原発の吉田昌郎(Masao Yoshida)所長は「事故直後の1週間は死ぬだろうと思ったことが数度あった」と語った。1号機や3号機が水素爆発したときなどは「終わりかなと思った」という吉田所長は、現場には放射線量が高く危険な場所もあるが、原子炉のいまの状態は安定しているので住民には安心してほしいと述べた。

 前日の11日には、事故対応拠点となっているサッカー施設「Jヴィレッジ(J-Village)」(福島県楢葉町、広野町)も報道陣に公開された。取材した記者たちは、使用済みの防護服やマスクなどを詰めたプラスチック製の袋が敷地内にたまっているが、その処分方法はまだ決まっていないと報じた。(c)AFP