【11月2日 AFP】福島原発の事故を受けて欧州各国で脱原発の動きが相次ぐ中、ベルギーで新連立政権発足へ向けた基盤固めをしている主要6党は10月30日、国内の原発7基を2015年から順次停止させていく方針で合意した。

 新首相に就任すると目されているワロン系社会党のエリオ・ディ・ルポ(Elio di Rupo)党首の下、連立与党となる諸党は7基について、稼働年数が40年に近づく15~25年に段階的に廃止していく計画を定めた03年の法律を再確認した。ただ、原発の停止スケジュールや再生可能エネルギー源への移行についてはさらに計画策定が必要として、新政権発足後6か月の猶予をもたせ微調整する構えだ。

 一方、同国の電力大手エレクトラベル(Electrabel)は31日、高コストや環境への副次的な負荷、電力供給の外国への依存などにつながるとして反発を示した。

■代替エネ確保が課題、停電の恐れも

 フラマン系紙スタンダルド(De Standaard)は同日1面で、停電の暗闇の中に8つの目が光り、1人が「エレクトラベルが言い分を聞いてもらいたがってるみたいだよ」と言う風刺画を掲載。「15年までに十分な代替エネルギーを見つけられなければ、停電が起きるかもしれない」と警告した。

 ベルギーでは既に電力輸入が輸出を上回っており、原発停止によって周辺国への依存がさらに強まる可能性が高い。また、火力発電に置き換えることでCO2排出量が増える点や、電力料金の大幅値上げを強いられる点などが懸念されている。

 ベルギーの電力源の内訳は現在、ガスと火力発電が合わせて5ギガワットなのに対し、7基の原発は5.7ギガワットで国内エネルギー需要の55%をまかなっている。風力発電は10年時点で911メガワットだったが、政府はこれを20年までに6.3ギガワットまで増やしたい考えだ。(c)AFP/Christian Spillmann

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