【10月31日 MODE PRESS】1971年にアリス・ウォーターズ(Alice Waters)がカリフォルニア・バークレーに開いたオーガニックレストラン「シェ・パニース(Chez Panisse)」は、サンフランシスコ周辺で農家や酪農家、漁業家などとの関係を深め、どこで、どのようにして私たちの食べ物は育てられ、どの季節に食べることが最も熟して美味しいのかということをアメリカの人たちにより深く考えさせるムーブメントを引き起こした。その高い意識とモットーはそこで働くシェフはもちろん、巣立っていったスタッフたちを通じて地域や街の人々へと浸透し、社会の活性化を促進させた。今回11月2、3日の2日間にわたり“みんなで食べるアートインスタレーション”として日本で開かれるのが「OPENharvest」だ。シェ・パニースのシェフや元シェフたちがはじめアメリカでは過去4回開催された食べられるアートイベント「OPENrestaurant」。今回5回目の「OPEN」として遂に日本に「OPENharvest」が上陸する。これに先駆けて25日、プレイベントが東京・渋谷の神山町界隈でポップアップ形式の楽しい一夜が開かれた。

 今回「OPENharvest」を企画しイベント誘致を仕掛けたのは、野村友里(Yuri Nomura、フードディレクター )、谷川じゅんじ(Junji Tanigawa、JTQ スペースコンポーザー )、横川正紀(Masaki Yokokawa、WELCOME、DEAN & DELUCA Japan)、伊藤直樹(Naoki Ito、PARTY クリエイティブディレクター)、平尾賀世子(Kayoko Hirao、HiRAO INC)で構成される「Foodlight Project」の5人。それぞれジャンルは違えど、その分野において常に時代を引っ張る彼らが食が照らす未来、さらには食べるということからなにが見えてくるのかを考えた。

 25日に開催されたプレイベントでは、食を通じて地域が繋がる新しいスタイルのコミュニティー活性イベントとして大成功を収めた。シェ・パニースのシェフらが自ら腕を振るい屋台形式のお店で客に直接サーブする。昔ながらの商店街から近年若いオーナー達の飲食店やショップが通りや路地に増えたことで、東京屈指のカルチャースポットとして活気づく神山町エリア。このプレイベントによって地域とコミュニティーの点と点を繋げ、地域全体で面で活性化していく挑戦だ。OPENharvestのプレイベントでありながら、地域活性のプログラムとして今後も様々な手法で継続していく。

「google+やツイッターなど使い慣れたSNSを中心にPRを行ったが、これだけの集客があった。リアルタイムな旬のクチコミ情報が、街の魅力として自然に広がっている状況が、参加者も街の人も経営者も、さらには食材を作る生産者までをも巻き込んでいく様はまさに時代のLIVEそのもの。食をきっかけに、イベントをたちあげ、人がつながり、新しい発見がうまれ、街が活性化している様子を目の前で直に体験することこそ今の日本人には大切なのでは」と語るのはFoodlight Projectのメンバーでスペースコンポーザーの谷川氏。

「シェ・パニースの精神、モットー、顔のみえた食材あきらかな食材をつかった料理であること。○○さんの作った食材というだけで不思議だけれど、おいしさが何倍にもなる。彼らはこの地産地消を40年間続けてきた。そもそもいのちを食べて生かされている、という感覚が都会の人たちは薄い。いのちをいただくことを、召しあがる、という。 召す= いのちをいただく、 あがる=たべる。 つまりいのちをたべて 私たちは生きている。

 希薄になりがちなこの感覚を見直すことで、いのちはどこからきたのか、私たちという存在は何なのかを、もう一度それぞれが自分自身に問いかける気づきのイベントでもある。しくみを作り場を起こすことでそれぞれが育てていくいのちの循環。これからの新しい時代を生きているキーワードとしていま“シェア”という言葉が相応しいと感じている。歓びは共有によって何倍にもふくらみ、苦しみや負荷は共有によって和らいでいく。良いことも悪いこともシェアし共に生きていく。共有するから楽しいし、それは生きるということに密接した活動でありライフワークにもなる。参加すれば開かれる場。すべてを開いていくことによって飛び越え、フラットに人にも物事にも向き合える。そこにいる人々とそれを支えたいと集まる人々の交流を核に今後もいろいろな地域や場所でさまざまな活動に取り組んでいきたい」と谷川氏は語る。

 食が人をつくり、人が社会をつくる。つまり、食べることで社会になんらかの変化や意義を唱えようとこの5人(野村、谷川、横川、伊藤、平尾)は果敢に挑戦しようとしている。 “なんとなく興味がある”を、まずは小さな1歩を踏み出すことで、これまでにはなかった確実な変化を自らの手で足で切り開くきっかけになるだろう。さしあたり11月2日、3日のメインイベントに参加してみることで、これからの人生やライフスタイル自体を見直してみるのもいいかもしれない。【岩田奈那】

【関連イベント情報】
~OPENharvestメインイベント~食べられるアートインスタレーション
シェ・パニースのシェフを中心とした食のスペシャリストとアーティストが「生産者」「料理人」「アーティスト」「消費者」をつなぐ参加型の食とアートの体験イベントを開催。

■場所:content restaurant(レストラン コントン)
■住所:東京都江東区三好4−1−1 東京都現代美術館B1F 
■日程: 2011年11月2日(水)& 3日(木・祝)
■定員:1日 200名 (※定員数になり次第、予約を終了)
■時間:19:00 ~ 22:00
■価格:大人 1万円、小学生 2500円
※ スタンディング形式のビュッフェ・ディナー(食事+飲み物)。当日現金での支払い。
■一般予約受付:content restaurant
■申し込み: openharvest@garlands.jp
予約の際は送付メールの件名に「OPENharvest予約」と記入の上、希望の日程(2日or3日)名前(全員分のフルネーム)人数、代表者住所、電話番号を記入。
※ 申し込みは、メールのみ。チケットの発送無し。当日入場の際に清算。
※ キャンセルの場合は、イベント開催3日前の18:00までに必ずメールで連絡。キャンセル受付日以降は、参加費の全額をキャンセル料として支払い。

Members:
Sam White / maître d' at Chez Panisse / Co-creator of OPENrestaurant
Jerome Waag / Head Chef at Chez Panisse / Co-creator of OPENrestaurant

Stacie Pierce / Pastry Chef at Chez Panisse / Co-creator of OPENrestaurant
Sylvan Mishima Brackett / PEKO PEKO Owner
参加予定レストラン:
USA: CHEZ PANISSE RESTAURANT / FOUR BARREL COFFEE / PEKO PEKO / PIZZAIOLO RESTAURANT /
JAPAN: content restaurant / iri / Espoir De Maison / Cignale Enotica / HOUSE / Pignon / DEAN & DELUCA
主催:Foodlight Project 野村友里 / 谷川じゅんじ / 横川正紀 / 伊藤直樹 / 平尾賀世子
共催:content restaurant
技術協力:Google Japan
協力:ひつじ不動産、元麻布農園、マーブルガーデン西麻布、ラッキーアイクレマス、コエドブルワリー
(c)MODE PRESS

【関連情報】
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