【10月30日 AFP】飼い主に愛情を注がれ、リッチな暮らしを楽しむ香港のワンちゃんたちには、ペット専用のエステやジェットバス、マッサージなどのリラックスサービスがある。しかし、それでも足りないもの――それは、内なる安らぎだ。

 そんなワンちゃんたちの助けとなりそうなのが、ヨガ・インストラクターのスゼット・アッカーマン(Suzette Ackermann)さんが提供する、飼い主と犬(dog)たちのためのヨガ、「ドガ(doga)」の授業だ。

■ にぎやかな「ドガ」のクラス

 毎週土曜日の朝、香港の上環(Sheung Wan)にあるアッカーマンさんのヨガ・スタジオに、生徒の飼い主と犬たちが集まってくる。まずレッスン前に飼い主が犬にマッサージを施した後、心地よい音楽が流れるなかで、人間と犬たちが「コブラのポーズ(うつぶせから上半身を反らせる)」などヨガのポーズを練習する。

 アッカーマンさんは、数年前から7歳になるペキニーズ犬の相棒「スノーボール」とともに自宅でヨガを楽しんできた。しかし、犬と一緒にヨガをする「ドガ」のクラスを開くというアイデアは、日本人のグルーマーに提案されたものだったという。

「ドガ」のレッスンは時折、犬同士のけんかや鳴き声、「脱走」などで中断される。

 ヨークシャーテリアとポメラニアンのミックスの「コピ」(1歳)は、チャクラ(心身のエネルギーが宿るとされる部位)を整えるよりは外で走り回っていたいようだが、他の犬たちは意欲的に「ドガ」に取り組んでいる。ヨガのポーズをとりながら、飼い主に抵抗もせず足のポジションを動かされるまま、おとなしく床に横になっている。飼い主と犬が同時に背骨を伸ばすポーズをとっている。もちろん「犬のポーズ」も外せない。

 反抗的な「コピ」の飼い主ポーリーンさんは、ドガを始めてからコピが穏やかになったと話す。アッカーマンさんも、初めてクラスに来たときのコピは「まるでカンガルーのように、四六時中、部屋中を跳ねたり駆け回ったりしていた」と振り返る。

■ 愛犬と触れ合う時間

 ドガは心を穏やかにするだけでなく、腰やひざに痛みをかかえる犬や、ぜんそく持ちの犬にも効果があるという。

 しかしアッカーマンさんは、多くの飼い主は「ペットとの触れ合いを求めているだけだと思う」と語る。

 アッカーマンさんが「ドガ」のクラスを開いた当初は、周囲から「犬がヨガをするなんて、本気なの?」と聞かれたという。その都度、アッカーマンさんは「基本的にヨガをするのは人間で、犬とはマッサージやストレッチを一緒にやるの。それだけでも、ワンちゃんたちを落ち着かせる効果はあると思う」と答えていた。

 アッカーマンさんは言う。「この前なんて、気づいたら私、片手に生徒さんの赤ん坊、もう一方の手には犬を抱えてたんです。何がどうなったの?って感じで…。楽しいですよ。ドガのクラスは、いつも笑い声があふれているんです」(c)AFP/Judith Evans