【10月24日 AFP】前週「がん完治」を宣言したベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領(57)の健康状態をめぐり、治療を担当したという医師が「余命は2年」とメキシコ紙に語り、別の医師がこれを否定するという混乱が起きている。余命2年説を述べた医師はその後、ベネズエラを出国した。

 2002年にチャベス大統領の治療を担当した医療チームの一員だったというサルバドール・ナバレテ(Salvador Navarrete)医師は前週17日、メキシコ紙ミレニオ(Milenio)に対し、チャベス大統領のがんは悪性の肉腫だとの情報を家族から入手したと語った。ナバレテ氏は、この情報には信憑性があり、悪性肉腫の患者の余命は2年以下だと指摘した。

 これに対し、チャベス大統領ががん治療を受けた軍病院の医師団は22日、ナバレテ氏は大統領の医療記録を知り得る立場にはなかったとして、同氏の発言内容を否定。チャベス氏の健康状態やがんの種類について「彼(ナバレテ氏)の見解には科学的根拠はなく、信ぴょう性はない」「彼は大統領医師団に加わったこともなければ、大統領の家族の治療も担当したことはない」と切り捨てた。

 ナバレス氏は同日、左派紙タル・クアル(Tal Cual)に書簡を寄せ、「ミレニオ紙とのインタビュー後に起きたいくつかの出来事」のため、家族とともにベネズエラを「急きょ出国せざるを得なかった」ことを明らかにした。「いくつかの出来事」について詳細は記されていなかったが、チャベス氏の病状が深刻だとの見解を再度主張。「治療が極秘裏に進められているため、大統領と側近たちが深刻さを理解していないのではないかと懸念している」と述べている。

 チャベス大統領は6月、キューバで骨盤腫瘍を摘出。その後4回の化学療法を受け、20日に「がん完治」を宣言している。(c)AFP