【10月18日 AFP】中国・四川(Sichuan)省アバ(Aba)県で、チベット仏教の尼僧が中国政府の抑圧に抗議して焼身自殺した。人権団体「フリー・チベット(Free Tibet)」が18日、明らかにした。

 AFPが接触した地元住民は、20歳の尼僧が17日、自らの体に火をつけて焼死したと聞いたと話した。「フリー・チベット」によると、この尼僧はチベットでの信仰の自由と、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)の帰還を訴えて焼身自殺したという。

 アバ県ではことし3月、当局の抑圧に抗議して、若い僧侶が僧院で焼身自殺した。3月以降アバ県で焼身自殺した僧侶はこれで9人目だが、尼僧は初めて。3月以降、チベット人の間では抗議の機運が高まっており、当局の取り締まりも厳しさを増している。

 ロンドン(London)に本部のある「フリー・チベット」は、さらに多くのチベット人が「宗教弾圧」に抗議するため、進んで命を投げうつ覚悟を固めているとみている。また、地元住民たちが、19日に一斉行動を呼びかける書簡が配布されているとの報道もある。

 尼僧の自殺の前日には、四川省の別の地域で、チベット人の抗議デモに治安部隊が発砲し、チベット人2人が負傷したという。四川省には多くのチベット人が住んでいる。

 アバ県の行政当局者は、AFPの電話取材に対し、焼身自殺の件は何も聞いていないと話し、ある警察官は、この件についてコメントする立場にないと語った。

 一方、地元ホテルに勤務する女性は、尼僧が焼身自殺したことは聞いたと話したが、これ以上の詳細については語らなかった。(c)AFP/Claire Cozens