【10月18日 AFP】音をたてずに上空を飛び、急降下して攻撃目標を爆撃する小型の無人機が、近く米軍に導入される。

「スイッチブレード(飛び出しナイフ、Switchblade)」との異名をもつ、このロボット無人攻撃機は、反政府武装勢力の掃討作戦の洗練化をめざす米政府による最新の試みを代表するものだ。

 米カリフォルニア(California)を拠点とする製造元のエアロバイロメント(AeroVironment)によると、重量は、わずか2キロ。米兵が背負うリュックに納まる大きさだ。専用の筒から発射すると、瞬時に翼が開き上空に急上昇する。

 また、小型の電動モーターを電源として、上空からリアルタイム映像を地上に送信し、米兵による敵の位置特定を支援するという。

 エアロバイロメントは前月、発表したプレスリリースのなかで、「ライブ映像を用いて、攻撃目標の位置を確認した操作者は、次に攻撃準備と軌道の固定指令を無人機に送る」と説明。すると無人機は、「目標」に向けて小型爆弾を発射するという。

■最後の瞬間での攻撃撤回も可能

 一方、すでに攻撃指令を送信した後でも、「スイッチブレード」は最後の瞬間で攻撃を撤回できる。この機能は他の武器にはないコントロールレベルを米軍部隊に提供するものだと、エアロバイロメントは説明している。

 米軍が現在、パキスタンなどでの軍事作戦で展開する無人攻撃機プレデター(Predator)やリーパー(Reaper)は、ミサイル攻撃や爆撃など強力な攻撃力を持つ。だが、民間人も巻き込み多くの死傷者を出していることから、パキスタンの人々の間で反米感情が高まる原因ともなっている。

 また、アフガニスタンでのタリバン掃討作戦で米軍が実施してきた砲兵射撃や戦闘機や攻撃ヘリコプターによる空爆でも、一般市民が多数死亡しており、両国関係を緊張させた。

 一方、の「スイッチブレード」は、無関係な人々の犠牲を回避できる点が売りだ。

 米陸軍は6月、新型の無人攻撃機を早急に開発し納入する490万ドル(約3億7600万円)の契約をエアロバイロメントと交わしている。「スイッチブレード」の発注数や納入時期について、米政府は明らかにしていない。(c)AFP