【10月10日 AFP】エジプトの首都カイロ(Cairo)で9日、キリスト教の一派コプト教徒のデモ隊と治安部隊が衝突し、当局発表で23人が死亡、174人が負傷した。死者のほとんどはコプト教徒で、AFPの取材に応じた牧師によると少なくとも5人は治安部隊の車両にひき殺されたという。銃撃された犠牲者もいるという。

 現地のAFP記者によると、衝突が起きたのはナイル川沿いのマスペロ(Maspero)地区。コプト教徒らは、9月30日に南部アスワン( Aswan)県のコプト教会が放火された事件に抗議するデモを行っていた。

 当局は9日夜、国営テレビを通じて、同地区からカイロ中心部のAbbassiya広場までの一帯に10日午前2時(日本時間午前9時)から同7時(同午後4時)まで夜間外出禁止令を出した。報道によると、衝突で治安部隊側も3人が死亡し、数十人の負傷者が出ているという。

 現地のAFP記者によると、負傷者が搬送された病院の付近で9日夜、集まっていたコプト教徒らとイスラム教徒のデモ隊200~300人が衝突し、病院に投石するなどした。この病院は遺体の収容先ともなっており、嘆き悲しむ遺族であふれているという。

 エジプトでは、少数派としては最大宗派のコプト教徒は宗派間衝突の標的となりやすい。コプト教徒らは組織的な差別を行っているとして当局を批判しており、同国における宗教間対立の再燃が懸念される。(c)AFP/Samer al-Atrush and Ines Bel Aiba

【動画】デモ隊に突っ込む治安部隊の車両(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)