【10月7日 AFP】2011年のノーベル平和賞は、西アフリカ・リベリアのエレン・サーリーフ(Ellen Sirleaf)大統領(72)、同じくリベリアの平和活動家リーマ・ボウイー(Leymah Gbowee)氏(39)、さらに「アラブの春」での活躍が知られる中東イエメンの人権活動家タワックル・カルマン(Tawakkul Karman)氏(32)の女性3人に授与されることが決まった。

 ノルウェー・ノーベル賞委員会(Norwegian Nobel Committee)のトルビョルン・ヤーグラン(Thorbjoern Jagland)委員長は7日、授賞理由について「女性の安全と、平和構築活動に女性が完全参加する権利を求めた非暴力の闘い」と発表した。

 ヤーグラン委員長はさらに「社会のすべてのレベルにおける発展に影響を与える機会を、女性も男性と同等に獲得することなしには、われわれは民主主義や永続的な平和を達成することはできない」とコメントした。

■アフリカ初の選挙で選ばれた女性大統領

 リベリアのサーリーフ氏は2005年、アフリカで女性として初めて選挙で大統領に選出された。就任当時のリベリアは、14年間にわたって続き25万人が死亡したリベリア内戦の爪あとが生々しく、経済は壊滅し、電気や水道といったインフラもなかった。ノーベル賞委員会は「2006年の大統領就任以降、サーリーフ氏はリベリアの平和の安定と、経済的・社会的発展の促進、さらに女性の地位の強化のために尽くしてきた」と評した。

 サーリーフ氏の大統領就任は、共同受賞したボウイー氏の努力なしには実現しなかっただろう。ボウイー氏は、リベリアで恐れられていた軍閥たちに対する女性の抵抗運動を組織した活動家だ。ボウイー氏はアフリカ史上最も悲惨な戦争の1つとなったリベリア内戦中、キリスト教徒とイスラム教徒の両方の女性たちからなる大きなグループにセックス・ストライキを呼び掛け、男性たちを和平交渉へ向かわせた。

 ノーベル賞委員会は、ボウイー氏が「民族的、宗教的な境界線を越えて女性たちを組織し、リベリアの長い内戦に終わりをもたらし、女性の選挙参加の道筋をつけた」とたたえた。

 タワックル・カルマン氏はイエメンの活動家でジャーナリスト。女性の権利や報道の自由、政治犯の釈放などを求める運動で、数回投獄されてもひるむことなく闘ってきた。

 ノーベル賞委員会は、「これ以上ないというほど困難な状況下で『アラブの春』の前も後も一貫して、女性の権利、民主主義、そして平和を求める闘いにおける主導的な役割をイエメンで果たしてきた」と称賛した。カルマン氏はアラブの女性として初のノーベル平和賞受賞者となった。(c)AFP