【10月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)の科学者らは2日、北極上空で今春、カリフォルニア州(California)の5倍の広さのオゾン層の破壊が確認されたとの研究結果を報告した。観測史上初めて、南極のオゾンホールに匹敵する大きさとなった。

 このオゾン層の破壊は、一時は欧州東部、ロシア、モンゴル上空にまで広がり、一帯に住む人びとを一時的に通常より高い紫外線にさらしたとみられる。

 北極と南極のオゾン層は、それぞれの冬から春にかけて濃度が低下する。

 上空で気温が非常に低い状態になると、水蒸気と硝酸の分子が凝縮された雲が下部成層圏に形成され、この雲の中で大気中の塩素分子が反応性化合物となり、オゾン層を破壊する。

 南極上空の温度は北極よりも低いため、これまでオゾン層の破壊は南極の方がより深刻で、北極上空の被害は限定的というのが定説だった。

 2010年から11年にかけての北極の冬・春シーズンに行われた衛星の観測によると、深刻な被害は上空15~23キロで発生。うち18~20キロで、80%以上のオゾン層が失われた。

 研究者らは、「北極のオゾンホールと呼んで差し支えない規模の破壊が初めて確認された」と述べた。研究結果は、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。(c)AFP