【9月28日 AFP】米インターネット大手グーグル(Google)の元経営幹部がバラク・オバマ(Barack Obama)大統領が打ち出した4470億ドル(約34兆円)規模の雇用対策の財源として、自身の税金を引き上げてほしいと同大統領に「嘆願」した。

 オバマ大統領は再選を目指す2012年の大統領選の資金集めを目的に、3日間の日程で米西部を遊説した。9.1%という高い失業率や経済低迷で、オバマ大統領の再選には暗雲が立ち込める。

 こうした状況のなかで、グーグルのブランド・マネジャーだったダグ・エドワーズ(Doug Edwards)氏は、苦境にある大勢の米国人を支援するために富裕層が立ち上がるべきだとの富豪投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏の呼びかけに呼応した。

 ビジネス向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「リンクトイン(LinkedIn)」の主催で米カリフォルニア(California)州マウンテンビュー(Mountain View)で26日に行われた市民対話集会で、エドワーズ氏はオバマ大統領に語りかけた。「今は無職ですが、かつて、このあたりで立ち上げた小さなベンチャー企業は成功しました」。エドワーズ氏は続ける。「わたしは今、自らの意思で失業しています。そこでお願いなんですが、わたしの税金を引き上げてもらえないでしょうか」

 対話集会を終えたエドワーズ氏は報道陣に対し、オバマ大統領と会ったのは初めてだったと明かした。対話集会には、民主党とつながりのある友人に誘われて参加したという。

 グーグルが目覚しい成長を遂げた1999年から2005年に同社に在籍していたエドワーズ氏は、経済的に余裕のある米国人はキャピタルゲイン増税に応じることで、経済的に余裕のない米国人を助け、インフラ改善などの政策に貢献すべきだとの考えを語った。

 友好的な支持者が集まった対話集会で1時間ほど質問に答えたオバマ大統領は、エドワーズ氏の申し出に謝意を示すとともに、誰かが教育に投資して学校を作ったからこそエドワーズ氏のような成功者が生まれたのだと指摘して、「成功を収めた人も、自分1人で生きているわけではないということを常に胸にとめておくべきだと思う」と語った。

 オバマ大統領は、雇用対策の財源確保のため、富裕層増税と法人税の抜け穴廃止を打ち出している。これに対し、共和党は経済状況が厳しいなかでの増税は、経済成長を阻害すると反発するとともに、「階級対立」をあおっているとオバマ大統領を批判している。(c)AFP/Stephen Collinson