【9月22日 AFP】2001年の9.11米同時多発テロで世界貿易センタービル崩壊の引き金となったのは、衝突した航空機の機体から溶け出たアルミニウムがビル内のスプリンクラーの水に反応して大爆発を起こしたためだった可能性があると、材料工学の専門家が21日、米サンディエゴ(San Diego)で開かれた材料技術関連の国際会議で発表した。

 ツインタワー崩壊の原因は、公式にはビル内部の鋼鉄製の梁(はり)が過度に熱せられて構造が破たんしたためとされている。

 しかし、ノルウェー産業科学技術研究所(SINTEF)のクリスチャン・シメンセン(Christian Simensen)氏はこの公式見解に異を唱え、「大量の溶融アルミニウムがビルを流れ落ち、数百リットルもの水と接したため」とする論を展開した。

 シメンセン氏によると、アルミニウム産業では1980年以来、アルミニウムと水の接触による爆発事故が250件以上報告されている。また、米アルミニウム製品メーカーのアルコア(Alcoa Aluminium)による実験では、融解アルミニウム20キロ分を少量のさびを含んだ水20リットルと反応させたところ、大爆発が起きて研究施設は完全に破壊され、地面には直径30メートルの穴が開いたという。

 シメンセン氏の試算では、航空機が激突した世界貿易センタービルの北棟と南棟には、それぞれ30トンずつの溶融アルミニウムが流れ込んだとみられる。この分量が水と反応した場合、爆発の威力はビルの大部分を吹き飛ばすのに十分だったと考えられるという。この結果、重量のあるビル上部が下部を押しつぶして、ビル全体が砂上の楼閣のように崩れ落ちたと同氏は論じている。

 このシナリオに沿えば、ビルの崩壊直前になぜ内部で爆発が起きたのかも説明できる。この内部爆発は、「爆弾があらかじめ仕掛けられていた」とする政府陰謀説の源となっている。

 シメンセン氏の仮説は、業界紙「アルミニウム・インターナショナル・トゥデー(Aluminium International Today)に詳しく掲載されている。(c)AFP/Marlowe Hood