【9月20日 AFP】ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんは、長らく自宅軟禁下に置かれ電話もインターネットも使えなかった。だが、自由の身となった現在、今度は忙しすぎるために米SNSフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)を使う暇がないようだ。

 自身が率いる国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)のヤンゴン(Yangon)本部で、スー・チーさんは「その時間がない」とAFPの取材に語った。「ツイートやら何やらで、あまりに多くの時間をとられてしまう。告白すると、私たちは今、押しつぶされそうなほど忙しい。7年の間に積もった仕事の清算は、急ぎでできるものではないから」

 前年11月に釈放された後、スー・チーさんはソーシャルネットワーキングサイトを利用することに関心を示していた。だが当面は、国外の支持者たちが立ち上げたウェブサイトをNLDが利用する程度になるという。

 ミャンマーにおけるインターネット接続の遅さはよく知られている。さらに、当局は、体制に批判的なウェブサイトを遮断しオンライン上の反体制派を投獄してきた。

 チュニジアやエジプトで起きた民主化を求める民衆蜂起で、反政府デモ参加者たちは検閲を逃れるためにソーシャルネットワーキングサイトを活用した。

 失敗に終わってはいるが、2007年にミャンマーで起きた僧侶主導の反政府デモでは、市民がウェブを使って状況説明や動画を国外に流出させ、当局がインターネットアクセスを遮断するに至った。

 一方、スー・チーさんは、中東流の民衆蜂起はミャンマーの問題を解決する答えではないと述べ、名目上は文民政府とされる新政府による政治改革の兆候を、不確定ながらも歓迎した。

 スー・チーさんが率いるNLDは1990年の総選挙で勝利したが、軍事政権はNLDが政権につくことを許さなかった。20年ぶりに2010年に行われた総選挙では、NLDは選挙をボイコットし、その結果、政権から解党させられた。

 しかし最近になって、政権側は政敵に対して融和的な姿勢をとっており、前月にはスー・チーさんとテイン・セイン(Thein Sein)大統領が会談している。

 事実上、軍部が勢力を持つミャンマーで、ネットユーザーたちは、これまでアクセスが遮断されていたビルマ語版BBCなどのウェブサイトに、一週間前からアクセスできるようになったと述べている。

 だが、この動きが今後も続くかどうかはわからない。パリ(Paris)に拠点を置く国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」によれば、以前からミャンマーのインターネット関連法は、世界でも最も弾圧的な部類に入るという。(c)AFP